散歩の途中

iPhoneもって散歩しながらいろいろ観察したノート

山北から南足柄、開成を経て松田までを歩く

神奈川県のいちばん西に位置する山北町山北駅を起点に、里山を歩いて南足柄市矢倉沢へ。そこから狩川沿いに南足柄市役所や伊豆箱根鉄道大雄山駅のある、市の中心地関本へ下り、足柄平野北部のたくさんの用水路と川をいくつも越えて開成町の酒匂川に達する。さらに酒匂川沿いに松田町にはいって川音川の合流点を経由して小田急線の新松田駅に至る、というコースを歩いてきた。そこかしこに水路や川のある、とても水の豊かな地域であることを教えてもらった散歩となった。
行程

スタートはJR御殿場線山北駅

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列車を下りた駅のホームで、前を歩くハイカーらしき中年女性3人組がいる。ある予感がしたので急ぎ足で追い越し、列車の車掌に切符を渡す。するとすぐその3人組、切符はない、Suicaだと言う声が聞こえる。予感的中。この路線はIC乗車券の類は使えない。当然そんなことは存ぜぬという人はたくさんいるので、改札が滞る。3人組の前に回ってスムーズに駅を出られて幸先の良いスタート。
駅前の商店街がレトロ

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駅前だけじゃなく、商店街の通り全体が昭和テイストで、いい感じに朽ちている。なんて、たまに1回だけ通る者の無責任な感想ではある。
住宅地側の通りにはいってみる。
住宅前に水路がある風景

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左側は桜並木になっていて、その向こうに御殿場線が通っている。
切通しに線路

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県道にぶつかって左折し、そのまま道なりにすすむ。
すぐに酒匂川にかかる足柄橋を渡る

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足柄橋を渡ったところで振り返る。

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向こうの赤い橋は東名高速道路。その下のうすい緑の橋は国道246号の樋口橋(とよぐちばし)。
脇道に入ってうろうろ歩き、しばらくすると
洒水(しゃすい)の滝の入口

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滝へ向かう途中にある最勝寺

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洒水の滝(1)

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洒水の滝(2)

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うーん、滝の途中から影になってしまっている。この季節、見る時間を選ぶようだ。
滝の真下まで歩道がつけられているが、途中の橋がひとつ流されてなくなってしまっているので間近まで行くことができなくなっている。
例によって滝の解説はこちら

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(どことなくちょっと添削したくなる解説文ではある。)
ここ、滝自体は良いのだが周囲の寂れ具合がなんとも。冬景色。
先ほど足柄橋を渡った県道に戻り、南の方向へ行くと山北町から南足柄市に。酒匂川の支流の川を渡ると県道を折れ、その支流に沿ってさかのぼる道へはいる。この道は「県立21世紀の森」へとつながる、雰囲気は林道のようだが、結構道幅も広く立派な道路である。
21世紀の森の立て札があるところまでのぼっていく

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が、ここで道を折れて別の道から、またさらに森の中の登山道のようなところを行く。
明るい森の歩道

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北東の方向が開けた場所から

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県道を分かれたところからずっとだらだらと上りで、標高も350mくらいまであがったところで、急に西側、山岳方向がひらけたところに出る。間近に矢倉岳(やぐらだけ)が姿を現した。

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手前は茶畑。
矢倉岳は、南足柄市のHPでは「お椀をふせたような美しい姿」、Wikipediaでは「おにぎりを立てたような特徴的な山容」と形容されている。標高870mの、遠くからもよく目立つ山である。箱根の山々にも近く、連なるように見えるのでいっしょにできた山なのかと思いきや、箱根とは別に生成したものらしい。
矢倉岳が見え、人里に下りてくると最初に出迎えてくれたのは
ひつじ

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人が顔を出すと、「何かくれる」と信じて疑わずに寄ってくる。可笑しい。
矢倉岳の中腹から湧き出す沢(内川の支流)と石垣

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この場所の少し上からはじまっている沢のようだが、水量が豊富。
矢倉沢(やぐらざわ)の集落を望む

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矢倉沢の名前で検索をかけると、矢倉沢往還ということばがたくさん出てくる。往還とは街道のことで、江戸時代の東海道脇街道として整備されたことになっているが、それより古く、奈良時代あたりから東海道に相当する街道として存在していた道がこのあたりを通っていた。江戸時代には矢倉沢に街道の関所が設けられ、のちの江戸中期以降に大山講が盛んになると(青山)大山道と呼ばれた。江戸青山から現在の国道246号線に沿う形で松田まで来て、南足柄の関本、矢倉沢、足柄峠を越えて御殿場に至っている。
矢倉沢集落付近の内川の流れ

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この内川からわずか200~300mのところを狩川という別の川が流れているが、この2つの川は直接合流することがない。どちらの河川も酒匂川に合流するが、内川は山北町で、狩川は海に近い、下流の小田原市飯泉というところ。この地域は、川が余るほどあるのではなくて、水が豊富でこれだけの川が必要なのだろう。
矢倉沢バス停と現在の街道

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現代の矢倉沢往還はこのあたりでは足柄街道と呼ばれる。現在のメインストリートとなった国道246号や東名高速は、もっと北の山北の方を通っているのでこの街道の交通量は少ない。
矢倉沢付近の狩川

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ここから狩川に沿って下り、南足柄市の中心部を目指す。
一色橋のうえからみた古い橋

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この川にはこの写真のような、昭和のはじめ頃に架けられた古い石橋が多かった。川の両岸が古くから開かれて、人の往来があったことと、水害で橋が流されることがなかったことがわかる。
狩川と矢倉岳

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湧水が豊富にあるのだろう。冬でも水量が多い。小さな堰も数多くつくられ、いたるところに農業用水路があって水が流れている。この用水路は足柄平野に出ても見られ、非常に数多く、毛細血管のように張り巡らされていたのが印象的だった。
厳島弁天池の湧水

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ここの水も、すぐ近くを流れている用水路と合流して少し下流側の田んぼの方へ流れている。
池の近くから足柄街道を渡って、足柄神社へ向かう道

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坂道、階段をのぼったところにも水路があった。

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斜面なのでこの付近で消費されているのではないと思われるが、どこまで水を流しているのだろう。
足柄神社の社殿

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神社の先に咲いていたろう梅と紅梅

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このあたりからは遠くに海も見えてとても良い場所。
やぎ

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先ほど見かけた羊より、多少警戒心があるようだったが。お腹空いてなかったのかも。
市の中心部に近づいて住宅がふえてきた。

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こんなところにも川の水を引くための溝が脇に切られている。
大雄山駅に達する

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駅名は大雄山で、地名は関本。駅前バス停は関本となっている。ここは最近になって再開発されたようで、大きなビルがあったり、道路も広く整備されていて、最近どこにでもある郊外ベッドタウンの駅前風景。
南足柄の中心、関本をあとにまた歩く。酒匂川の堤防を目指す。
平野に出てきたのでもう坂道はないと思っていたら、台地の先っぽがまだ残っていた。
そこをちょっとのぼる。

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向こうは松田、開成、大井といった場所。
南足柄市から開成町に入る。
この民家の生垣は防風用?

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このあたりはいたるところ、毛細血管のように水路が張り巡らされていて、水が流れている。昔はもっと家の数も少なくて、一面水田だったことは、明治時代の古地図を見ても確認できる。昔は風を遮るものもなかっただろう。
要定川

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この平野にはこのような小さな河川も多い。
松並木が印象的な酒匂川の堤防に至る

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酒匂川堤防のうえから、矢倉岳、富士山を望む

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河川敷はスポーツ施設

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川を少しさかのぼり、十文字橋を渡って松田町にはいる。
十文字橋から川の上流方向を望む

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向こう側の橋は新十文字橋。こちらの十文字橋は2007年9月の台風により橋脚が川の中へ沈みこみ、橋げたが落下するという事故が起こっている。
橋を渡ったところですぐにまた堤防に沿って、川の下流方向へしばらく進み、川音川と酒匂川の合流点まで行く。
合流点付近の様子

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左から川音川が流れてきて右手前から奥へ向かって流れる酒匂川と合流している。
川音川側、上流に向かって

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途中に「川音川サイホン」

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こいつは、酒匂川のここよりも上流で取水した、農業用水である酒匂堰の水を、川音川の川底を横断させるために造られた伏せ越しの施設。送水管を川底に通して用水の水を下に落とし、サイフォンの原理を使って、川の向こう側でその圧力を利用して水を同じ高さまで上げる仕組みになっている。
サイフォンのちょっと先で川の堤防を下りて街中へ向かい、新松田の駅に出た。
小田急新松田駅

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本日はここまで。歩いた距離は20.6kmになった。