1日ツアーの後半はメドック地区を訪れました。
前半訪問したサン=テミリオンからボルドー方面に戻り、その北側へ移動します。
ボルドー市街を流れているガロンヌ川とサン=テミリオンなどの南を流れるドルドーニュ川が合流してジロンド川となった、その左岸側に広がる広大なワイン生産地を含めてひとくくりにしたのがメドックです。
メドックの中にさらにたくさんのコミューン(自治体)が存在し、マルゴー、ポイヤックなどなどのコミューンがワイン生産地として有名なものとなります。
メドックのワイン生産地区であるメドック・ヴィティコル(Médoc viticole)と呼ばれる地区に入ると、ちょっとした丘陵地帯ではありますがとにかく平ら、地平線まで起伏がほとんどありません。
そして町らしい町もなく、見渡す限りの平原が続き、ブドウ畑と、ブドウの栽培に適さないところは牧草地や牧場となっています。
車の走行中に撮ったぶどう畑
(写真の位置情報が飛んでしまい、正確な場所がわかりません。オー・メドック(Haut-Médoc)のどこか)
そんなところをどんどん車を走らせ、カントナック(Cantenac)というコミューンに入ります。
その村役場にも近いけれど賑わいはなく、黙々とブドウ畑の広がる一角に、この日午後の部として見学したシャトー・プリューレ・リシーヌ(Chateau Prieuré Lichine)がありました。
道路反対側の駐車場あたりから
入口の前で
歴史はかなり古いシャトーで、起源は12世紀にも遡るそうですが、現在の建物は見てのとおり、最近建て替えられた新しいものです。
こちらのシャトーでも、とても感じの良い(sympathique:サンパティーク、なんていいますが)ガイドの方に丁寧な説明を受けることができました。
ワインの発酵室、設備なども最近更新されて新しく、近代的な工場のような姿でもありました。
卵型のコンクリート製発酵用タンクが並ぶ部屋
圧搾したブドウ果汁や果皮などをタンク上部から入れて最初のアルコール発酵を行うところです。
最初「ステンレスタンク」と記していましたが、コンクリートの間違い。訂正しました。
こちらのワイナリーではステンレスタンクとコンクリートタンクを併用しているそうですが、ステンレスタンクのある部屋は見られませんでした。
角型のコンクリート製発酵タンク
タンクの横に置かれていた圧搾機
現役で使われているもののようですが、まさかこれ1台だけ?
説明用ですよね。
タンクでの発酵を行った後、樽での発酵と熟成を行います。
こちらのシャトーでも新樽か1回使用したものかなど様々な条件があるようです。また、一部はステンレスタンクで引き続き発酵と熟成を行うものもあるそうです。
ヴィンテージワインの貯蔵庫と手前は古いコルク詰め機
様々なヴィンテージのものが置かれていました。こちらにあるワインはほとんどすべて買い手がついている、すでに売れてしまったものなのだそうです。引き取られるまで預かっているわけですね。
ワイン樽貯蔵庫の向こうは試飲室、兼ショップ
ファーストラベルの赤、それと少量生産されている白をいただきました。
赤(Chateau Prieuré-Lichine 2014)
このワインは「マルゴーのワイン」を名乗っています。マルゴーはカントナックの隣り村ですが、ワインの地域名としてそちらに含まれています。
白(Le Blanc du Chateau Prieuré-Lichine 2018)
白ワインは赤とは別の畑から収穫したぶどうでつくられているそうです。この地域で白は珍しいかもしれませんが、しっかりとして美味でした。
また、こちらの白ワインはAOCという農業製品に対する認証による制約から"Margaux"(マルゴー産)を名乗ることができず、ワインのラベルは"Bordeaux"となっています。AOCではブドウ品種などの規定もあるので、白ワイン用ブドウはマルゴーAOCの規定外になってしまうのだそうです。品質の問題ではないのでややこしいところです。
ファーストラベルの赤ワインはメドックの格付けでは第4級となっていますが、この格付けは1855年に行われたものでその後の見直しなどはされていません。シャトーの代替わりやオーナーの変更もあり、個々の銘柄について当時の格付けはすでに意味のないものも多いともいわれます。
こちらのシャトーも当時から栄枯盛衰あったようですが、現在の評価は格付け以上に高く、特にアメリカでの人気が高いということです。(これは別途ネットから入手した情報)
ファーストラベルは日本でも入手可能、かつ値段はリーズナブルだそうです、って何宣伝してる?
最後に外へ出て周囲を2枚ほど
畑も見ました。
たぶん赤ワイン用ぶどうの畑
どこまでがこのシャトーの畑なのかわかりませんが。
シャトー見学の後は、マルゴー村などを車で走ります。基本的に地平線までブドウ畑という風景は変わらずで、所々にワイナリーのシャトーが現れます。
これは車内から撮った、シャトー・パルメ(Château Palmer)
同じシャトーの遠景
上の並木道を先に進むと
シャトー・マルゴー(Château Margaux)の正面に突き当たります。
世界的にも有名で高い評価を得る「シャトー・マルゴー」総本山です。
門前から
招待されているわけではなく、この先には入れません。
ブドウ畑の一角
作業スペースを垣間見る
マルゴーAOC唯一の第1級格付けワインであるシャトー・マルゴー。さすがに見学、試飲もままならず、ではあります。
そこからさらに北へ車を走らせ、マルゴーからサン・ジュリアンをぬけてポイヤック村へ。このあたり名だたるワインのシャトーが目白押しです。
シャトー・ラトゥール(Chateau Latour)への入口、門の前
こちらも門は閉ざされて中へは入れません。左向こうにこのシャトーのシンボルであるラトゥールの塔が見えてます。
そこから50歩くらい先
道路をはさんで2つのシャトーがあります。
道路向こう側がシャトー・ピション・バロン(Château Pichon Baron)、道路標識の下に門柱だけ見えているのがシャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ドゥ・ラランド(Château Pichon Longueville Comtesse de Lalande)、もとはひとつのワイナリーが分かれたので名前も似ています。
シャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ドゥ・ラランド
シャトー・ピション・バロン
ピション・バロンのファーストラベルはシャトー・ピション・ロングヴィル・バロン(Château Pichon-Longueville Baron)、コンテス・ドゥ・ラランドのファーストラベルはシャトー名といっしょ。兄弟シャトーとはいえなんかややこしいです。名前長いし。
偉大なワイン生産地とはいえ、何だか建物巡りになって少し疲れてきました。
シャトー・ピション・ロングヴィル・コンテス・ドゥ・ラランドのブドウ畑から
お邪魔したワイナリーの畑などでもそうだったのですが、ブドウ畑では所々バラを植えているのを見かけます。
ブドウの木に病気が発生すると、その病原菌はまずバラの木に影響を与えることから、予兆を察知するためにバラを植えているそうです。
石ころ混じりの土壌は水はけが非常によく、雨などはすぐ地下深くへ浸み込んでいきます。水やりも現在はしないそうです。地表近くに水が保持されないため、木は根を深く伸ばし、数十メートルにも達してそこから水を吸い上げるようになる、というかそのようにさせて強い木を育てているそうです。また地下深くの土の養分がよいブドウを育てているとのことです。(これはガイドの方に伺った話です)
もう少しメドックをまわり、夕方とはいえまだ陽の高いボルドーへと戻りました。
街のカフェはあちこち英語で"Happy Hour"の文字、以下は省略です。
この日前半のサンテミリオン編