散歩の途中

散歩の途中で観察記録、その後少し調べて書くノート

神田川を歩く その1 井の頭公園から東中野まで

東京都内、都心のど真ん中を貫いて流れる神田川三鷹市の井の頭公園、井の頭池を源とし、中央区の両国橋付近で隅田川に合流する。一級河川で流路の延長は24.6kmになるそうだ。

この神田川を源流点から隅田川への合流点まで歩いてみた。井の頭公園から文京区の江戸川公園までのほとんどの区間は川に沿って歩道が整備されていて歩きやすい。今回そのうち東中野の万亀橋までが「神田川を歩く その1」でとりあげる範囲である。

井の頭公園の池が神田川の源ということでアプローチは吉祥寺駅

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井の頭恩賜公園(井の頭池)

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マンションの立っているところは武蔵野台地上で池のあるところより少し高い。池と台地の間にこのあたりは段差があり、その部分はこの写真で樹木が生えているところになる。背後にみえる森の段差の下などにいくつか湧水があり、窪地となっているこちらがわに池ができた。ただし現在は湧き出す水の量が少なくなってしまい、枯れてしまったものもあるらしい。一部は地下水をくみ上げているとのこと。

都内、武蔵野台地上にはここ井の頭池のように湧水をたたえた場所がいくつかある。この井の頭池と善福寺公園となっている善福寺池、石神井公園三宝寺池が代表的なものであり、武蔵関公園の富士見池や妙正寺池などもそうだろう。そしてこの武蔵野台地は西側が高く、東が低い傾斜になっているため、これらの池からできる水の流れは例外なく東側、低い方へ向かって流れ出している。

 神田川のはじまり、公園内にあるひょうたん池(写真奥)とスタートゲートの水門。水門と小さな橋をくぐって流れがはじまる。

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 流れのはじまり「水門橋」

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ここから井の頭線のガードをくぐるあたりまでが公園のなかとなる。井の頭池の水量は豊富だが、流れ出す水の量は夏の雨期にもかかわらず少なく感じる。

井の頭線のガードを越えて

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公園を出たところだが整備された箇所がつづく。

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ここが公園区間(写真左側)と一般河川区間(右側)の境目。緑の木々からフェンスに、石垣からコンクリートの護岸に。

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この先はコンクリートで固められた護岸がつづく。川の水量は少なく、大量の草(がま?)が川の中に生えている。この下流では人が入って草刈りをしていた。

ここからしばらく川に沿って井の頭線の線路が通っていく。三鷹台駅の近辺は遊歩道が切れる区間があるため、駅前の踏切を渡ったり一般道を歩かなければならない。

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杉並区久我山3丁目付近の川のなか。わざと流れを曲げたりしている。誰の遊び心かわからないけど仕事が丁寧、ジオラマのようだ。

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久我山駅付近

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久我山駅を過ぎると井の頭線の車庫脇を通る。このとき歩道は左岸側にしかなくなる、右岸側は階段を上がって川とは離れたところへ出てしまうので注意。(下流側から上ってくる場合は橋があって両岸の歩道が合流するので気にする必要はないが)

杉並区高井戸東1丁目堂ノ下橋付近から

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少し川幅が広がった気がするが、コンクリート護岸は相変わらずで川の中の風景は正直単調ではあるものの、杉並区内はずっと閑静な住宅地の歩道を歩けるのでとても気持ちがよい。ただしここに至る手前、井の頭線高井戸駅付近で川は環八をまっすぐ渡るが、歩行者は横断禁止。駅の北側にある歩道橋を迂回する。そして環八付近で玉川上水からの分水が神田川に合流しているとのこと。

塚山公園にかかる古そうな橋 塚山橋 杉並区浜田山2丁目

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ここに写っている範囲は橋も含めて塚山公園のなかになっているとのことだ。川に沿って歩いていると、源流部の井の頭公園から下流部の江戸川公園にかけて、神田川の流れが削った崖や斜面が両側(一部は片側だけだったり、認識できないところもあるが)にできていて、川が谷底を流れていることがわかる。川にかかる橋の上で道路の先を右左見ると坂を下りてきて橋を渡るような地形になっていることが多い。そして坂の上が台地になっている。

このような地形の台地先端部には古くから人の営みが認められることが多くあるそうだ。この塚山公園付近もそのような地形であり、縄文時代の遺跡が発見されている。

ひまわり橋たもとから下流側 杉並区永福1丁目

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このあたりから川はしばらく流れを北の方向へ変える。水量もいくぶん増えたが、このあたりでの深さは20から30cm程度にみえる、時々魚が泳いでいるのを見かける。水は澄んでいて水草が繁っている。

井の頭線の下をくぐる。 杉並区永福1丁目、明大前と永福町の中間あたり。ここで井の頭線とは分かれていく。

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井の頭線のガードをくぐったら下流側が工事中、3,4百メートルほど一般道を迂回。

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川沿いを歩いていると必ずどこかしらで河川工事に出くわす。そして迂回を余儀なくされるのだが、神田川での工事は幸いここ1か所だけであった。

護岸の工事だったのだろう、下流側の工事の終わったところはきれいになっていた。このあたりも閑静な住宅地であるが、わりと新しい住宅が多い。川が整備されて洪水の心配がなくなってから宅地化されたのだろうかと勝手に想像。

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杉並区和泉4丁目付近。

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べんてんばし公園から環七に至るあたり、大規模な調整池がつくられている。増水時には川の水が手前側の茶色の柵のところからあふれて地下の調整池にプールされる。環七脇 には神田川取水施設があり、近くを流れる善福寺川、さらにこの地点では距離があるが妙正寺川も含めて水量の調節を行って川から水があふれるのを防いでいる。環七の地下には管径12.5mという車や地下鉄も通せるほどの大きな管がとおっているそうだ。過去にはこの下流、窪んだ地形でいくつかの河川が合流している場所は大雨時にしばしば浸水していた場所であった。

神田川取水施設の建物と環七通り

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環七と神田川遊歩道の交差地点は横断歩道があって直接反対側へ渡ることができた。このあたりから下流側都心に近づくにつれて落ち着いて歩けない場所も多くなってくる。

環七を越えて杉並区方南2丁目付近。河床も完全にコンクリート

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環七を越えると歩道はなくなり一般道をしばらく歩かなくてはならなくなる。川もU字溝のこのタイプがデフォルトに。

そして川岸を歩けるのはこのあたりまで。中野区弥生町6丁目

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川の反対側は東京メトロ丸ノ内線の車庫、地下鉄だが車庫は地上にある。そういえば杉並区から中野区にはいっている。

善福寺川との合流点。手前は善福寺川、右から流れ込んでいるのが神田川

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なんだかこの上に写っているような川底のつくりだと、川というよりも下水路に見えてしまう。でもこれらの川の流域は完全に下水道が整備されているため、通常時に下水は直接川に流されることはない。必ず下水処理場で処理された水だけが川に流される。なのでどちらの川も見た目は澄んだ流れが維持されている。(下水処理された水は独特の臭気と色があるけど)

善福寺川のノート

miwa3k.hatenablog.jp

中野区本町5丁目付近 千代田橋から下流側のながめ

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環七を越えてからこの付近まで川岸の歩道が整備されていなかったが、ここ千代田橋から下流側の歩道整備が終わって歩けるようになっていた。この橋より上流側も工事中なのでそのうち歩けるようになるだろう。

中野新橋の赤い橋を渡った先で都庁が見えた。

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河床がジグソーパズルのピースにもみえる。しかし都庁の建物のたたずまいというか、個人的にいまだ馴染めないのである。

淀橋

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あのヨドバシカメラの名前の由来である。中野区と新宿区の境界を川が流れる。このあたりの地名が淀橋、そして淀橋は神田川にかかる橋の名前である。そしていま新宿副都心となっている地区はかつて淀橋浄水場があったところ。しかしその水の供給源は玉川上水で、神田川の水は使用されていなかったはずである。

中野区中央1丁目付近のながれ

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このあたりはずっと川を境に左岸側が中野区、右岸が新宿区となっている。両岸ともに歩道が整備されていて桜の木がずっと植えられている。

大久保通りの脇、小河川の合流

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大久保通りの北側で暗渠となっていた小さな河川が合流していた。そういえば神田川は暗渠になっているところがまったくなかった。都会では多くの中小河川が暗渠化されてしまったなかで珍しい。

この暗渠になっている川は桃園川「といわれていた」。昔々は普通の河川で、いまの杉並区天沼付近を源として東南に流れ、中野駅のすぐ南側を通り、大久保通りと並行してここで神田川に合流している。いまは全区間が暗渠にされてしまい、流れる水も通常の河川のものではなく、処理された下水であるということである。

東中野の万亀橋上から上流側

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新宿区側の桜の成長が中野区側にくらべて速すぎるという見方はたぶん間違っていると思う。川の水はずっと澄んでいて流れもあり見ていても気持ちがよい。

今回はここで離脱、東中野駅まではすぐ。歩いた距離は15.5km

つづきの「その2」はこちらからも行かれます。

 

miwa3k.hatenablog.jp