「沢井から奥多摩氷川(1/2)」のつづき。鳩の巣大橋から上流へ、鳩の巣渓谷に向かうところから。
多摩川その6・足あと
前回その6(1/2)のノートはこちら
古いけど幅の広い鳩の巣大橋を渡って、しばらく先へ進むと雲仙橋(うんせんばし)に出る。
雲仙橋
こちらの橋は幅がせまく、黄色の注意書きには「総重量2トンを超える乗用車以上の車両の通行を禁止する」とあり、”乗用車以上”って何だろというつっこみは考えないことにして、実際軽自動車くらいしか通れそうもない。鳩の巣大橋からこちらまで車で来てしまうと大変そうだ。
支柱を見ると吊り橋のように見えるが、トラス橋である。元々は吊り橋だったのを架け替えていると思われる。
向こうの河原近くに見えるのは鳩の巣バンガロー、キャンプ場の一部のようだ。
上流側、真下をのぞき込んで
見た目よりかなり高く、足がすくむ。
橋を渡り、いったん坂をあがり、途中で横道にそれて今度は急坂を下って河原近くへ出る。
鳩の巣渓谷
まさに岩だらけの渓谷。
近くで沢が流れ込むが、その直前で小さな滝となっている。
双竜の滝
周辺はかつて観光旅館や飲食店、売店などがあったが、すべて閉館して建物だけが残り、廃墟のよう。
見た目よりうす暗く、無人なので、日中でもちょっと気持ち悪い。
もう一度多摩川河原に出て鳩の巣小橋をながめる。
鳩の巣小橋
再び階段や急坂をのぼり、国道411号(青梅街道)まで上がる。
青梅街道鳩の巣橋から青梅線橋梁など
国道の橋も古く、青梅線のアーチ橋も古い。
橋の下を流れる沢が先ほどの双竜の滝につながっている。
また少し青梅街道を歩き、花折トンネル手前で側道へそれる。白丸ダムへの入口だ。
ダム本体の手前に白丸ダム魚道があって、タイミングが良ければ見学できるそうだが、このときは閉館。
魚道の様子はダム天端の通路からも見えた。
勢いよく放水中。
放水している水で発電を行っているほか、御岳の多摩川第三発電所へ送水し、そちらでの発電がメインとのこと。
東京都交通局が建設したダムと発電所であり、発電した電気で都営地下鉄や都電を動かしている? 竣工は1963(昭和38)年。
後ろのダム湖の様子も含めて
手前に見える通路は開放されているので、ここを通って反対側へ行く。
通路から見る放水現場
川の左側に見えるのが魚道の一部、ダム湖とダムの下をつないで魚が移動できるようになっている。2001(平成13)年に新設されたそうだ。
水は向こう側から下ってきているが、見えなくなっているところから上はトンネルになって反転し、こちら側へ上がってきていると思われる。(見学してないので構造の詳細は不明)
魚道の長さは全部で331.8m、高低差は27mあるそうで、魚は途中で嫌になっちゃったりしないんだろうか。
通路を渡った反対側はダム湖管理用の巡回通路となっているが、一般にも開放され、通りぬけができる。
ダム湖に沿った管理用通路をずっと歩いて行く。
このあたりは川の流れがほとんどないので、カヌーやカヤックの練習をしている人がいる。ここへ来る途中の速い流れの中で練習している上級者も見かけたが、このへんは初心者用かな。
しばらく行くと数馬峡橋(かずまきょうばし)
いつもより水位が高いためか、橋の上から見た川は白丸のダム湖がそのまま続いていた。
数馬峡橋の上から下流側
ダムの管理用通路の続きが遊歩道になっているので、そのまま上流へ進む。
途中にはトンネルもあった。
数馬西トンネルと数馬第一橋
遊歩道は海沢(うなさわ)という地区までくると一般道に変わる。それでもあちこちにハイキング用の案内標が立てられているので道に迷うことはなさそう。
氷川水力発電所がみえてくる
東京電力グループ会社都内唯一の水力発電所だそう。
多摩川上流小河内ダム付近から水路を通してこの山の後ろにある調整池へ導き、そこから正面に見えている水路管に水を落とし、下にある発電所の水車の羽根をまわして発電している。最大発電出力は8200kW。
日本はもっと水力発電を見直したらいいのにと、特に2011年以降そう思うんだが。
発電所設備など眺めて歩いていると多摩川南岸道路に合流、そのままずっと行くとこの道路はまた長いトンネルに入ってしまうので、その手前でエスケープ。
道路分岐点下に多摩川の流れ
川へはみ出した道路を先に行くと奥多摩町の中心部へと向かう。
でもその途中で多摩川のほうへ折れると
もえぎ橋
近くにある温泉施設への連絡橋。案外古くないように見えた。
もえぎ橋から多摩川上流方向
対岸に渡って階段をあがると青梅街道、その旧道に出る。
青梅街道旧道
現在の青梅街道(国道411号)はこの山側を長いトンネルでぬけている。
この先で合流して先へすすむと町役場や奥多摩駅もある町の中心部近くに出てくる。
町中心部あたりの地名は「氷川(ひかわ)」といい、奥多摩駅もかつては氷川駅だった。
今回の予定はここまでで、奥多摩駅から帰ることにしていたが、周辺をもうひと回りしてみた。
奥多摩駅入口交差点から多摩川方向へ行き、昭和橋の上へ。
昭和橋から多摩川上流側
濁った流れが多摩川で、右から合流しているのは日原川(にっぱらがわ)。
最後の方で日原川に架かっている橋(中央に見えている橋)を渡ってもどってくる。
渡りかけた昭和橋を駅方面に戻り、「奥多摩むかしみち」入口まで行ってみた。
むかしみちは、奥多摩駅近くから多摩川の流れに沿って上流へ伸び、小河内ダムとダム湖の奥多摩湖までつながっている。古い青梅街道の名残りを整備したものだそうだ。
この先の多摩川を歩くときはこの道を通るのがよさそうと思っていたのでその下見も兼ねてというところ。
それほど高く見えないけど標高は507m、もっとも街中の標高も330m程度あるので、比高は170mほどか。
この付近からみえる山のいくつかは先が尖った形をしている。《石灰岩質の山だからだろうか、あとでしらべておこうとは自分用メモ》
青梅街道に戻って小河内ダム方面に少し行くと南氷川橋。
南氷川橋から多摩川上流側
これがこの日見た多摩川のもっとも上流の流れ。
水量や川の様子など、歩き始めた御岳渓谷あたりとあまり変化がないようだ。
南氷川橋
向こうが奥多摩町中心部方向。
道路左の「多摩川」標識の下に「海から83㎞」の文字があった。
この日歩きはじめに70㎞ポストを見たので、川としては13㎞さかのぼってきたことになる。歩いた距離はそれ以上になるが。
ここからまた流れの近くへと下ってみる。愛宕山登山のアプローチ兼ハイキング道といったかんじの細い道へ入る。
愛宕山ふもとの森の中から
登計橋
昭和45年完成と銘板がとりつけられていた。名前はどうも「とけはし」らしい。
周辺は氷川渓谷と呼ばれるところ。
同じく上流方向
道は日原川に近づく。
日原川合流点近くから真っ赤な昭和橋を望む
何枚か前にあちらの昭和橋からこの付近を写していた。
今度はそこに写っていた氷川小橋から
氷川小橋から日原川上流側、氷川大橋の姿がちらり
大橋は青梅街道が通る橋。橋の片側、車道歩道が工事中で向こうからこちらを見ることができなかった。
日原川は多摩川に比べると水は澄んできれい。近くにあった河川起点標識では、上流端まで10kmとあった。
そんな渓谷を歩いていたが、そこからわずか5分で奥多摩駅前。
奥多摩駅舎
奥多摩駅ホームから上流方向は行き止まり
以前は先に見える石灰石の化工工場(奥多摩工業氷川工場)へ引込み線が延びていたらしい。
駅ホームにいるということは、今回はこれでおしまい。
多摩川この先歩くのはいつになるやら、どこまで行くのか自分でも想像もつかない。
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多摩川シリーズその5まで
多摩川右岸シリーズ