散歩の途中

散歩の途中で観察記録、その後少し調べて書くノート

東京の荒川を歩く その2 小菅から笹目橋

前回その1では荒川河口より下流、人工埋立地となる葛西臨海公園の西の端から歩き出して、長い橋を何回か渡り、荒川と中川、荒川と綾瀬川の真ん中にあって、2つの川を隔てる堤防のうえで、左右両側に2つの川が並行して流れる珍しい風景を見ることもできた。そうして「千住の川向こう」にあたる、小菅までやってきた。
今回は小菅をスタート地点にして、東京と埼玉の境界に近い、板橋区新河岸の笹目橋を目指して歩く。
荒川その2行程

スタートは東武スカイツリーライン小菅駅

f:id:miwa3k:20170207220456j:plain

前回、綾瀬川が荒川に寄ってくるところの様子を見ていたため、荒川左岸側を歩いて小菅に到着となった。にぎやかな対岸の千住ではなく、少し地味な小菅からスタート。河原までは5分もかからない。
前回の離脱地点から

f:id:miwa3k:20170207220457j:plain

上流側にはたくさんの鉄道の橋梁が集中している。
東武スカイツリーライン(河原には伊勢崎線と書いてある。)

f:id:miwa3k:20170207220458j:plain

走っているのは東急田園都市線の車両だ。しょっちゅう使っていたのですぐわかる。
東武の橋梁が2つ架かっていて、その向こうには、つくばエクスプレスとJR常磐線、地下鉄千代田線の3本の橋。
走っているのはつくばエクスプレスの電車

f:id:miwa3k:20170207220459j:plain

つくばエクスプレスの鉄橋

f:id:miwa3k:20170207220500j:plain

桁(トラス)が向こうまで切れ目なく、一直線につながっていてかっこよい。
東京メトロ千代田線橋梁・逆光

f:id:miwa3k:20170207220501j:plain

常磐線は間にはさまって撮影できるところがなかった。
一群の鉄道橋梁を過ぎると国道4号日光街道)の千住新橋にさしかかる。
千住新橋

f:id:miwa3k:20170207220502j:plain

千住新橋のうえから見た荒川上流側(この写真は別の日に撮影したもの。)

f:id:miwa3k:20170207220503j:plain

おなじ日光街道が隅田川を渡る橋に「千住大橋」という名前があるのでこちらは「千住新橋」となっている。千住大橋は江戸時代からこの名前で橋があったから、荒川放水路が開かれた後に造られた新しい橋を千住新橋と命名した。でも明らかに「新橋」のほうが「大橋」よりも大橋である。
千住新橋の上流側、次の橋は西新井橋
西新井橋

f:id:miwa3k:20170207220504j:plain

西新井橋の北詰

f:id:miwa3k:20170207220505j:plain

西新井橋は都道の尾竹橋通りが通る。右側は首都高速環状線の高架。
この橋を渡って対岸に移ることにする。
西新井橋のうえから荒川下流側

f:id:miwa3k:20170207220506j:plain

3つ前の写真と同じ場所を反対方向から写していることになる。
橋の南詰で車道は尾竹橋通りと墨堤通りが分岐、こちらはそれとは関係なく、荒川右岸河川敷に下りる。
西新井橋のすぐ上流側

f:id:miwa3k:20170207220507j:plain

河口から14kポストがあり、場所は足立区千住桜木。このあたりで南側に隅田川が近づいてくる。(水の流れから言えば、南の方へ離れていく。)隅田川との距離を確認するため荒川の堤防へあがる。
荒川堤防のうえから見た隅田川

f:id:miwa3k:20170207220508j:plain

足立区千住桜木2丁目と小台1丁目境界付近。荒川堤防土手の向こうは都道と工場など、その向こうに隅田川、川の向こうは荒川区町屋。そして後ろに振り返れば荒川の流れ。
荒川と隅田川にはさまれた細いところを歩いて行くと小台。
日暮里舎人ライナー荒川橋梁と扇大橋

f:id:miwa3k:20170207220509j:plain

妙に太くて頑丈そうな橋のうえを、小さなトラムのような車両が走っているのがおもしろい。向こう側扇大橋は都道の尾久橋通りが通る。すぐ南側を隅田川が流れるが、そちらは別の橋になっているようだ。
扇大橋の上流側は隣の隅田川が蛇行しているため一旦荒川との距離がひらく。その隅田川がまた近くに寄ってくるところに2本の橋が架かっている。
ちょうどアーチが重なるところから、江北橋(手前)と五色桜大橋

f:id:miwa3k:20170207220510j:plain

2つの橋の間から

f:id:miwa3k:20170207220511j:plain

江北橋を渡っている道路にはなんとか通りという名称はないようだ。東京都道307号王子金町江戸川線とされている。その向こう2階建ての五色桜大橋は首都高速中央環状線が通る。高速道路にある橋ってあまり独自に名前をつけてないような印象があるが、ここはちゃんと名称(愛称?)がついている。橋の向こう側は江北ジャンクション。
この橋の近くに荒川の距離標が埋め込まれていた。

f:id:miwa3k:20170207220512j:plain

荒川距離標右岸17.00K国土交通省荒川下流河川事務所と書かれている。実はこの距離標、250mおきに堤防上に埋め込まれているようだ。たいていは見逃すが。
おまけでもう1枚五色桜大橋

f:id:miwa3k:20170207220513j:plain

首都高速の下をくぐると左側に隅田川が寄ってくる。
隅田川と豊島橋のアーチ、左側は先ほどの首都高速中央環状線

f:id:miwa3k:20170207220514j:plain

豊島橋から上流側にぐるりと蛇行し、Uターンしていく隅田川

f:id:miwa3k:20170207220515j:plain

向こう側は北区の団地。後ろはすぐに荒川。このあたりの隅田川は、荒川放水路ができる前はいまの荒川の流路にまで食い込んでいた。その名残で北区と足立区の境界が荒川の中ほどまで食い込んでいる。
反対側荒川の様子

f:id:miwa3k:20170207220516j:plain

隅田川が近くを流れているといっても特に変化はない。
隅田川はまた蛇行していったん荒川と離れる。その離れていったところで荒川側には環七通りが通る鹿浜橋がある。
鹿浜橋

f:id:miwa3k:20170207220517j:plain

この橋を越えると荒川上流側右岸河川敷は東京都民ゴルフ場、左岸に見えるのは芝川水門。芝川合流点

f:id:miwa3k:20170207220518j:plain

向こう側は新芝川排水機場で、ここで荒川に合流する新芝川、芝川の水位を調整し、これらの河川流域での水害を防止するための施設になっている。荒川周囲の支流はそれら河川流域の標高が低い(ほぼ0メートル)ので、おもに荒川からの逆流による水害を防ぐための施設がたくさん存在している。
この付近で三度隅田川が左側に寄ってくる。荒川と隅田川の分流点となる岩淵水門も間近。
左隅田川、右荒川

f:id:miwa3k:20170207220519j:plain

隅田川の先の方に見えているのが岩淵水門。(右側荒川の水がほとんど写っていないな。もう少し高い場所があるとよかった。)
隅田川は岩淵水門で荒川からの分流に、新河岸川として流れてきた水がここで合流する。
荒川分流と新河岸川の水の合流

f:id:miwa3k:20170207220520j:plain

そしてこんなところで「海まで20キロ」

f:id:miwa3k:20170207220521j:plain

海まで20kmは荒川のほう(隅田川じゃない)。
新河岸川、荒川の分水、荒川放水路の3ついっぺんを欲張ったが

f:id:miwa3k:20170207220522j:plain

荒川放水路の流れが写ってない。
岩淵水門まで到着。例によって解説はこちらで(写真は多少拡大可能かと)

f:id:miwa3k:20170207220523j:plain

水門の前から

f:id:miwa3k:20170207220524j:plain

水門の門扉についていた銘板

f:id:miwa3k:20170207220525j:plain

岩淵水門のすぐ上流側には、荒川放水路開削直後に使用されていた旧岩淵水門が残されている。
旧岩淵水門(左側)

f:id:miwa3k:20170207220526j:plain

現在は旧水門の右(下流)側に堰が切られていて、ここからこの右側にある現岩淵水門のほうへ水が導かれている。以前は堰は切られておらず、左側の小さな旧水門で水を分けていた。
旧岩淵水門の解説板

f:id:miwa3k:20170207220527j:plain

上流側からみた旧岩淵水門

f:id:miwa3k:20170207220528j:plain

旧岩淵水門の周辺は親水施設になっている。

f:id:miwa3k:20170207220529j:plain

まん中に立っているのは、過去の大水で発生した高水位を示したもの(ハイウォーターマーク)。向こう岸は埼玉県川口市になる。
岩淵水門から河口までが、1913(大正2)年に工事が開始され、1924(大正13)年に通水開始、工事完了は1930(昭和5)年となる人工的に開削された荒川放水路である。そしてこれより上流は昔から存在した荒川本流の流路ということになる。(当然改修は行われていて、現在の流路がそのまま昔の流れではないが。)
昔からある荒川に沿って歩き始める。
岩淵水門のすぐ上流側は河川敷が公園のように整備されている。
河川敷の公園施設と新荒川大橋

f:id:miwa3k:20170207220530j:plain

新荒川大橋は東京都北区と埼玉県川口市の間に架かる橋で、国道122号(東京都側は北本通り、埼玉県側は岩槻街道)が通っている。橋脚が2列あるので正確には2本の橋である。長さはすぐ隣を流れる新河岸川も跨いでいるので809mある。
付近には以前、川口の渡しがあった。大正以降になって造られた荒川放水路には(たぶん)渡し舟はなかったので、荒川にはいって下流側最初の渡し舟だろうか。
新荒川大橋の先にはJR線の橋梁

f:id:miwa3k:20170207220531j:plain

真下から見ると3本の橋が架かっている。

f:id:miwa3k:20170207220532j:plain

右が京浜東北線、まん中が上野経由の、左が新宿経由の宇都宮・高崎線線路が通っているということでよかったかな。
橋をくぐるとすぐそばに河口から22k、北区赤羽北

f:id:miwa3k:20170207220533j:plain

こちらのJR橋梁から次の新幹線などが通るJR橋梁までの間、右岸の河川敷はずっとゴルフ場(赤羽ゴルフ倶楽部)とゴルフ練習場になっている。
ゴルフコース

f:id:miwa3k:20170207220534j:plain

ゴルフコースは隣接ホールとの境界に意外に高い木が植えられていて眺望が悪い。堤防のうえを歩けばいいのだが風が強かった。このあたり対岸の川口市側も河川敷はゴルフ場のようだ。
ゴルフ練習場から、向こうはJR埼京線東北新幹線荒川橋梁

f:id:miwa3k:20170207220535j:plain

このあたりで北区から板橋区に入る。
東北新幹線の橋をくぐるとすぐに国道17号中山道)が通る戸田橋
東北新幹線荒川橋梁、左戸田橋

f:id:miwa3k:20170207220536j:plain

ここは中山道が通っていたことから、江戸時代より前から戸田の渡しがあったそうだ。明治初期には初代の戸田橋が完成し、現在の橋は4代目。
戸田橋の先で堤防の土手に上がる。(板橋区舟戸3丁目付近)

f:id:miwa3k:20170207220537j:plain

上の写真の近くで、堤防土手の歩道

f:id:miwa3k:20170207220538j:plain

このへん、堤防天端と下の河川敷、その真ん中の堤防の中間の3つも歩道がある。戸田橋から上流は歩く人の数も少なく、たまに自転車が通って行く程度で閑散としている。堤防の外は工場や倉庫が多い。
また河原に下りて

f:id:miwa3k:20170207220539j:plain

板橋区新河岸3丁目付近の河原。向こう右側に見えるのはたぶん戸田ボートレース場の建物。
河口から28k板橋区新河岸

f:id:miwa3k:20170207220540j:plain

そろそろ笹目橋で、本日の目標地点なのでこのポストも見納め。
後ろ側が笹目橋というところまできて、堤防の土手の上にあがる。
荒川河川敷下流側を望む

f:id:miwa3k:20170207220541j:plain

横を見ると笹目橋

f:id:miwa3k:20170207220542j:plain

笹目橋は国道17号新大宮バイパス首都高速5号池袋線が通っているとても交通量の多い橋だ。この橋の上流側はすぐに都県境で、埼玉県和光市となる。東京の荒川はここでおしまい。
荒川を離れて南側へ行くとすぐ新河岸川
新河岸川を渡る

f:id:miwa3k:20170207220543j:plain

渡っているのは早瀬人道橋。
この新河岸川荒川放水路開削前はいまの埼玉県朝霞市付近で荒川に合流していたが、荒川放水路開削時に改修されてバイパス(放水路だ)が通され、岩淵水門付近で隅田川に合流するようになっている。なのでこのあたりは荒川と新河岸川が並行して流れている。向こうの橋は笹目橋の続き。一挙に2つの橋を跨いでいる。
同じ橋のうえから新河岸川下流側

f:id:miwa3k:20170207220544j:plain

橋を渡って、トラックターミナルのまわりをまわって西高島平駅へ出た。
都営三田線西高島平駅

f:id:miwa3k:20170207220545j:plain

地下鉄だけどこのあたりは高架を走る。都営なのでこの先は東京都じゃないからここが終点。
この日はここまで19.5km歩いた。
いちばん最後になってしまったけれど、荒川放水路についての変遷をまとめた資料が荒川下流河川事務所のHPにある。全部でPDF50ページにもなる資料だが、わかりやすく、詳しく書かれているのでリンクを貼っておく。
荒川放水路変遷誌(PDF)

http://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000097665.pdf

東京の荒川その1 miwa3k.hatenablog.jp