散歩の途中

散歩の途中で観察記録、その後少し調べて書くノート

引地川を歩く 相模原台地から流れ下る川その1

東京の山の手から多摩地方には、大昔の多摩川の流れによって形成された武蔵野台地があって、現在はそこから多くの河川が流れ出している。そのうちの神田川善福寺川石神井川には、源流から、あるいは流路の途中に、湧水によってつくられた比較的大きな池からの水が流れている。井の頭池、善福寺池、三宝寺池がそれらの池だ。
神奈川県にも相模川の流れによって形成された相模原(相模野)台地があって、こちらも現在多くの河川が流れ出している。だが武蔵野台地のように、名前を授けられた池などを流れに持っている河川はない。なぜできなかったのだろうという疑問はわく。相模原台地上から流れ出す川のなかで、武蔵野台地神田川石神井川に似た川はあるのだろうか。
地図をながめて目星をつける。最初に、井の頭池などと同じように谷頭地形の湧水から流れがはじまる、引地川と目久尻川をピックアップしてみた。まずはここから調査(散歩)開始。
最終的には相模原台地側に大きな池ができなかった理由などを考察してみたいとは思うけれど、まだまだ全然。まずは観察からはじめないとというわけで、池ができなかった理由は河口から歩いてみる必要はあるのかないのかわからないけれど、武蔵野台地神田川善福寺川妙正寺川石神井川はすでに一応歩いてみたし、相模野台地も歩いてみるほうがいいだろうと、まったくわけのわからない理由ではじまる、2つの川あるき。
その1は引地川。行政的には「ひきじがわ」と読むが、ひきぢがわ、ひきちがわの表記もあり。

引地川 (Wikipediaから抜粋)
洪積台地の相模野台地中央部に当たる神奈川県大和市上草柳の泉の森に源を発し、洪積台地を浸食して谷底平野を形成しながら南流。藤沢市稲荷付近から湘南砂丘地帯へ流れ出て、藤沢市鵠沼海岸湘南海岸公園から相模湾に注ぐ。全長21.3km、流域面積67km2のうち、上流部の神奈川県道45号丸子中山茅ヶ崎線までの4.46kmは大和市管理の準用河川区間、それより下流二級河川として神奈川県の管理となっている。主な支流に蓼川(たてかわ)・不動川・一色川・小糸川がある。中流部の谷底平野には水田地帯が見られ、農業用水として利用されている。取水のための施設として、大和市に川底から取水する「若宮取水口」、藤沢市に「長後堰」「中村堰」「石川堰」が設けられている。1983年(昭和58年)5月6日に「引地川川べり遊歩道」が開通し、1987年(昭和62年)12月10日に旧建設省の「ふるさとの川 モデル事業」の指定を受けて以来、遊水地建設とともに親水護岸などが設置されるなど、市民に親しまれる川への取り組みも進められている。

本日の行程

鵠沼海岸の河口から大和市の泉の森までを1日で歩いた。スタートは小田急江ノ島線鵠沼海岸駅

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駅から河口を目指し、住宅街を歩く。湘南海岸公園の西の端、鵠沼海浜公園との間に引地川の河口がある。
鵠沼橋そばの歩道橋から河口

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引地川河口

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河口から鵠沼橋(国道134号)

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上流に向かって遡上開始。
さきほどの歩道橋から上流側

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引地川下流の様子(藤沢市鵠沼海岸5丁目付近)

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近くには境川が流れるが、雰囲気はそちらとよく似ている。
ゆりかもめ

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長久保緑橋

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対岸は長久保公園。植物園もあるらしい。
長久保緑橋のうえから下流

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東海道線橋梁

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対岸は親水施設のある公園だが、あまり手入れされていないで少々荒れ気味。
東海道線をくぐって少し行くと向こう側に丘陵がみえてくる。

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旧東海道が通る引地橋(藤沢市鵠沼神明4丁目付近)

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国道1号藤沢バイパスが通る引地川橋付近は工事中

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高名橋から下流側(藤沢市城南3丁目付近)

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城下橋から小糸川合流点

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2つの川の間に見える小高い丘は大庭城址、現在は公園になっている。引地川のこのすぐ上流側からは引地川親水公園となる。
引地川親水公園内

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遊水池の堤防(越流堤)のうえから

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石川橋のうえから、上流側の横浜水道引地川水道橋

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相模川の寒川堰で取水した上水道の原水を小雀浄水場に送っている。
上の写真のさらに右側(東方向)

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一色川合流点(藤沢市石川)

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不動川合流点(藤沢市円行)

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合流している不動川の(写真)右側一帯は多摩大学湘南キャンパス。この先は湘南台の住宅地に入っていく。
湘南台橋のうえから上流側

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このあたりで川の水が濁っている。原因はこの上流にあることがのちほど分かる。
上川内橋付近から上流側

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この橋は湘南台橋のすぐ上流側の橋。この上流側が遊水池(下土棚遊水地)の大規模工事中。ちょうどこの上流に引地川と蓼川の合流点があるので水害対策が必要ということらしい。
工事の土砂が川の中にも

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水が濁っているのはこれが原因。元は水田だった場所を遊水地として整備、工事は2006年にはじまって2020年度完成予定となっている。
工事区間は川のそばに寄ることができず、しばらく迂回。
川べりに戻る

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工事区間の上流側に出る。蓼川の合流前となり、川の規模も少し小さくなったようにみえる。
古い武骨な橋があった。(藤沢市長後)

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長後下分(ちょうごしもわけ)第4橋というらしいが、いつできた橋なのかなどその他の情報はつかめず。
長後下分第4橋付近の流れ

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このあたり、武骨なコンクリート橋のほかにも通行禁止になっている橋があったり、護岸も造られてからかなり時間が経っていそう。そろそろ工事が必要かな。
ここからもう少し上流へ行くと藤沢市から大和市にはいる。
福田13号橋から

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中学校の校舎とグラウンドの間に橋が架けられている。学校ができたときからあるのだろうか?
東海道新幹線橋梁

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新幹線線路の南側(下流側)は親水施設もある公園になっている。
車道の一段下、流れに近いところに歩道

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この歩道、両端以外車道へ復帰できる場所がない。いいような、使い勝手が悪いような。
この先は大和市の桜の名所、福田千本桜に至る。
引地川千本桜の並木(1)

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桜並木(2)

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大和市福田。川沿い、約1.5kmに渡って桜並木になっている。歩道もあり、川に下りられるところもある。桜が咲いていなくてもとてもよいところ。なんでもここの桜並木は河川拡張工事によって伐採されることになっているとか。2016年から工事がはじまる計画とのことだけれど、2017年に通ったときはまだはじまっていないようだ。2017年春の桜はまだ大丈夫だろう。
桜並木を過ぎると、川の西側には厚木飛行場、アメリカ海軍と海上自衛隊の厚木基地が迫ってくる。飛行場は引地川からみると段丘の上、一段高いところにある。通ったときも頻繁に飛行機が飛び交い、騒音はひどい。まるで空母のすぐ脇を歩いているような錯覚になる。
基地のすぐ近くで滝を見かけた。

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「猪山の瀧」と刻まれていた。どういう水が流れているのかよくわからない、情報もあまりない。謎の場所。
その先も引き続き、川の向こう側、台地の上は厚木基地という状況。
川の向こうは基地のなか

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川が城の堀のようにも見えてくる。
対岸のフェンスは「川からの侵入を阻止」するためのものだろう。

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対岸、崖の上は飛行場の滑走路も近い場所。
そんなところで、もうすぐ源流に到達する川

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この先で引地川は厚木街道(神奈川県道40号)、相鉄線を2つのトンネルでくぐる。人も川の脇にあるトンネルをくぐる。
相鉄線下の歩道

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このトンネルがなぜか低い。特に厚木街道の下は頭を下げて通る高さ。
2つトンネルを通過すると「ふれあいの森」という公園に出る。公園のなかを引地川も流れる。
ただし静かな公園とは言い難い。

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こんなのが「頻繁に」飛んでくるのだから。
川の方はこの先で東名高速の下をまたトンネルでくぐり、人もその脇を通り、その先は「泉の森」に達する。
東名高速を越えたところ、泉の森手前

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写真右側は草柳園という釣り堀で、その下からの湧水が釣り池に使われているとのこと。その湧水が引地川に合流して流れていく。釣り堀下の湧水が源流のひとつ。
泉の森から川が流れ出すところに堰のようなものが

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池の脇を流れる川

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池は人工のもの。
流れ込む暗渠からの水

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ここから出てくる水は引地川のオリジナルではなく、この公園北側の住宅地域の側溝から集まった雨水と工場の冷却水として使用された水とのこと。これは泉の森排水トンネルと呼ばれているらしい。この付近ではここのトンネルから出てくる水の量がいちばん多い。引地川源流部での水は「ほとんどこの排水」。
泉の森の「泉」からくる水

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そしてこのわずかな流れを追っていくと、国道246号の下をくぐりぬけてから本当の源流部、「引地川水源地」に到着する。
引地川水源地

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フェンスのなかが保護された水源地。引地川を河口から源流までたどることができた。
水源地から最初に流れ出してくる場所

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フェンスの向こうはあまりよく見えなかったけれど、井の頭公園などのような大きな池はない。水は湧き出しているけれどその場にはあまり溜まらず、すぐに流れ出しているといった様子。水道の水源としてくみ上げられてもいるので、溜まらないのはその分の減少もあるのだろう。
保護されている水源の森

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このあと泉の森を少し散策して帰途につく。
帰り際に思った。源流部分の森の中に、東名高速国道246号線など大きな道路が通り、水源や森の保護、維持は大丈夫なのかと心配になるけれど、どうなんでしょう。水源には直接関係ないかもしれないけれど、厚木基地へ離着陸する戦闘機はじめ多くの飛行機の騒音も激しく、環境的には「窮屈」になってしまっているのではないかなと。
相鉄線相模大塚駅

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この日の歩いた距離は25.9km。とりあえず歩いた記録のみ。