昭島市拝島町から多摩川上流方向へ崖線沿いを歩きます。
現在地付近からは小さな段丘が複数段重なり崖線も複雑になってきます。もはや立川崖線と一意に定まらないので単純に『崖線』を使うことにします。
最初に崖線位置を示した例の地図〈ちょっと改良したつもり版〉を
《地理院地図を使用してカシミール3Dで加工しています》
前回の続きとして、階段部分を崖線が通っている拝島山普明寺大日堂前
最初の地図では中央やや右下の赤まる位置になります。今回はここからスタート。
大日堂の両隣りには普明寺薬師堂、日吉神社本殿が並びます。
その東隣りにある拝島大師(本覚院)など付近の寺院はここ大日堂の子院として建立され、別当寺だったそう。*1
大日堂前から南へ奥多摩街道を渡った次の通りは『日光脇往還』、またの名は八王子千人同心街道。拝島は八王子側最初の宿場でした。
水路の通る民家前に古い大きな木(昭島市拝島町4丁目)
旧街道筋を西へ少し行くと
段差は大きくないですが水路脇を崖線が通ってます。段丘上は龍津寺(りゅうしんじ)という曹洞宗の寺院です。
水路は下の川(昭和用水分流のひとつ)、はけ下に東京の名湧水57選のひとつがあります。
龍津寺下の湧水
奥の暗いところ、複数箇所から湧いているとのことです。
水路には大きな石がたくさんありますが、奥多摩から運んできたものだそうです。〈伝聞ばかりだな〉
もう少し西へさかのぼると崖線は学校(啓明学院)の敷地にはいってしまいます。
通り抜けられないのではけ下側を迂回しましたがすぐに多摩川です。堤防上をたどります。
多摩川左岸堤防、昭島の霞堤付近
堤防上の道が変てこな急カーブを繰り返してます。
まず足元から先、左へヘアピンで土手から下ってますが先で堤防が切れているためです。
こちら側に戻ってきた道がくねくね曲がって草むらの後ろを通り再び上っているところ、あちらから次の堤防になるのですが間は堤防が二重になってすき間があり、堤防外側は一時的に水を溜められる遊水地になっています。
川が増水し水位があがるとこのすき間を通って水が流れ出し、外側に水が溜まることで多摩川下流側の水位を下げる効果があります。
このように不連続にした堤防のことを霞堤(または武田信玄の考案といわれ『信玄堤』)といいます。
ちなみに川の水位が下がってから溜まった水が排水されます。〈当然ですね〉
この地点にいつ頃霞提が設けられたかははっきりしていないそうですが、いまだに利用価値があるので残されているのでしょうか? 遊水地部分は現在学校のグラウンドのようです
歩くにはぐにゃぐにゃ区間をショートカットしたいところですがしっかりロープが張られてめんどくさいこと〈以上崖線とは無関係な話題でした〉
霞提、食い違いの土手から上流に250mほど行くと昭和用水堰、用水の取入口があります。
こちらは取入れられた水が昭和用水として流れていくところ
向こうに見える林のところを崖線が通ってます。低い部分はこのあたりも霞提外側の遊水地だったかもしれません。
この崖線は多摩川河川敷まで近づいてきます。
福生市にはいってまだ多摩川河川敷、多摩川緑地福生南公園から
左河川敷が公園、緑フェンスの下に『下の川』が流れその向こうが崖線部分です。
崖上から(玉川上水の)熊川分水が下の川へ落ちていて『どうどうの滝』と呼ばれています。その水が右トンネル出口のようなところから出てきます。〈滝は見えてません〉
多摩川河川敷の横がすぐ崖線なのでこのあたりは堤防を設ける必要がありません。
少し上流へ行くと多摩川を渡る睦橋のたもとへ。そのあたりで崖線は多摩川から少し離れます。
睦橋通り上から、東へ少し離れた崖線とはけ下の下の川
はけ下は『下の川緑地せせらぎ遊歩道』となってます。
歩いていくと(福生市南田園)
桜の咲く小さな公園、はけ下に湧水があるようです
同じ公園の北側をJR五日市線が横切ります
右側崖上から現れた線路は高架となり、そのまま左へ多摩川の橋梁を渡ります。
崖線地図、最初に掲げたものの範囲からはみ出しました。新しいのを
五日市線高架下をぬけた先
福生市に入ったあたりと比べ崖が高くなりました。
もう少し先、福生市北田園1丁目
崖を上がっていく道路12%勾配標識、階段の歩道が備えられてます。
ところでこの坂を上がったところには『かやと橋』、ほんとに橋あります。玉川上水が崖の上を通されてるのですね。
こちらは福生高校近くの道ばた
ここにもはけ下の湧水でしょうか、緑の囲いの中です。水は手前暗渠水路に落とされてしまいます。
この付近の崖線、あまり段差がありません。このあたり小さな段丘がいくつか挟まって各段丘間の段差は小さくなっています。
多摩川永田橋上流側すぐのところ
左、川沿いに下りていく歩道自転車道、右がゆるく上がる道路、右側は段丘面と定義されているようです。
多摩川沿いを4~500mさかのぼると
右側は崖線、前方レンガ色建物前は崖線に接続された多摩川堤防の土手です。
そちらの堤防へあがって外側を見ると
右がレンガ色建物、その奥に崖線の続きがあり崖上は玉川上水が流れてます。
崖線側に寄って先へ進むと
俄かに高低差が小さくなったようにも見えますが
右側フェンスの下が玉川上水、その向こうに崖線が通ってます。
玉川上水の土手にあがってさかのぼり
堂橋から玉川上水下流方向
左が崖、流れの右側は一段低くなって家などがあります。崖線の途中を切り崩して水路をつくったのでしょうか。
羽村堰第三水門付近
奥が崖線です。
羽村堰で多摩川から取水した水はここで3方向に分かれて流れ、そのうちひとつ、正面中央に写る階段後方のゲートを通る水は崖部分から掘られたトンネルで狭山湖、多摩湖、各貯水池に送られます。
崖線は第三水門のすぐ西で方向が変わり、多摩川から少し離れたところにのびていきます。
その前に玉川上水の取水口羽村堰をちょっと寄り道
羽村堰
左多摩川本流にある堰で水をかるく堰き止め、壁の右側へ取入れます。
右手前側から流れ出ている水は取り込み過ぎた分、多摩川に返されてます。
こちらは取水口後ろから
正面が第一水門になります。玉川上水側に取入れられた水。
背後へ
手前が第二水門、水量調整をここで行ってます。
羽村堰第三水門付近を通っていた崖線を先へもう少し追いかけます。
羽村堰から羽村駅方面へ向かう道の途中(羽村市羽東3丁目)
正面に禅林寺、左の道路が坂道になってますがお寺の背後に崖線、先ほどまで追ってきたものの続きです。〈ちなみに澤乃井は青梅の地酒です〉
左が多摩川上流方向、そちらへ進みます。
階段が上下を連絡してます。このあたり高低差は大きく見えます。
崖上から下ってきた道と崖下から上がってきた道が交差している崖の中ほど
上がって羽村一中前道路から
このへんはまた高低差さほど感じません。
向こう側の丘陵との間に多摩川が流れているはずですがそれも見えません。
ほぼ同じ場所から(羽村市羽中3丁目)
今回歩いたのはここまで。
崖線はこの先数キロ、段丘面が何段にも分かれて青梅市の市街地近くまで続きます。もはやどれが立川崖線と特定できるのかわかりません。
過去分
*1:拝島大師は境内建物撮影禁止だとか、そちらの画は差し控えました。口コミなど見るに他にもあれこれあるようで評判芳しくないですね。