まあ時々やってますが、今回のノートは暗渠歩き。最近はあまり受けないですねぇ(笑)。
今回歩いたのは横浜市神奈川区から鶴見区にかけて流れる入江川(いりえがわ)。下末吉台地と呼ばれる台地の一部を何万年間も削って、谷間に流れができた小さな川を執拗に追いかけてます。
横浜市による解説では次のように記されています。「入江川は鶴見区東寺尾付近を源として西に流れ、神奈川区西寺尾付近でJR横浜線と平行して南に流れを変え、大口商店街横を通って神奈川区子安通りで6派川の運河に分かれ、横浜港に注いでいます。」
今回は昔の海岸線、運河で派川に分派(分岐)する直前から川をさかのぼり、本流といくつかの支流の源流までたどって歩きました。
同じ横浜市の解説に「上流のほとんどは暗きょ化され、緑道や道路に利用され、河川というよりも水路になっています。」
支流の数も多く、見た目も地味な暗渠水路です。
最初に入江川の流路、推定も含めてまとめたものを置きます。
入江川流路〈推定〉地図
◆河口から開渠区間
子安浜
左側が明治期までの海岸線。現在は右側に埋立地が広がり、その間は横浜市の解説で「派川(はせん)」と書かれている運河です。
入江川は係留されている船の向こうから注いでいます。
河口部を別位置から<地図①>
第一京浜入江橋の上から河口方向。
先の十字路のようになっているところが昔の河口、現在は派川(運河)がそこから3方向へ分岐しています。
入江橋上流側から
<地図②濃青ライン>へ。
その次の道路橋、宮前橋も同様の橋です。
開渠区間は典型的な都市河川、見栄えは決してよいとはいえません。それでも水の濁りはそれほどではなく、大きなボラが泳いでいるのが見えました。
丸い穴から支流が合流しています。東の方角、神之木台付近からの流れで、昔の地図では上流部に池が見えます。(他の支流でも上流部に池が見えるものがいくつかあります。)
暗渠からの出口付近(開渠区間のはじまり)
入江橋付近の河口から2㎞ほどが開渠区間、それより上流は支流含めほぼすべて暗渠となっています。
上流に向かって暗渠のはじまり区間は「入江川せせらぎ緑道」として整備されています。途中で支流が分かれますが、その一部も同じくせせらぎ緑道です。地図中③④部分。
暗渠にした川の流れの上に歩道とせせらぎを設けてあります。
入江川せせらぎ緑道(本流)まず2枚 <地図緑ライン③>
せせらぎに水を供給している場所
神奈川水再生センター(神奈川区千若町)で高度処理した下水処理水がここから流されています。
本流のこれより上流側には緑道もせせらぎもありません。閉鎖された暗渠道が続いています。
先に支流のせせらぎ緑道を歩きます。<地図緑ライン④>
と言っても、支流側の緑道は補修工事中でした。初夏に歩いたときの写真を置きます。
2枚
天気と季節を選ぶと風景全然違います…
◆本流暗渠区間
地図茶色ライン⑤。
閉鎖されている暗渠道(河道跡)
アスファルトが敷かれてますが、所々フェンスで遮られて通行はできません。
本流暗渠道が確認できる先端
向こうのフェンス先は住宅で、暗渠道は忽然とすがたを消します。
それでも暗渠道延長上はゆるく谷底となって、川の痕跡はまだ先へ続きます。
荒立バス停付近
谷地形は右側にあるコンビニ敷地付近まで。正面へ向かって上りになってこの付近が源流と思われます。この付近、現在流れの跡は確認できません。
◆支流1暗渠(東寺尾6丁目方面流)
地図茶色ライン⑥。
寺尾小学校入口交差点付近から北へ分岐、東寺尾6丁目方向へさかのぼる支流。
上記交差点付近の暗渠
ここで一般道へ出てきて交差点を渡り、本流暗渠と合流しています。
さかのぼると暗渠は住宅の間をぬって、しだいに第二京浜西側を並行していきます。
谷底を暗渠が横切る(東寺尾6-21付近)
道路左右に水色フェンスのあるところを暗渠が横切っています。
第二京浜東寺尾交差点西側まで暗渠は確認でき、その先はほとんど痕跡がなくなります。
谷頭(谷の一番奥)付近
正面は上り坂、暗渠は見られませんが、道路右側、最初ただの水たまりと思っていたら、右の草むらあたりから水が湧いていました。右側の土手上を第二京浜道路が通ります。
湧き水はすぐ道路側溝に落ちて見えなくなるので気づきにくいですが、この周辺あちこちで水が湧いていました。この支流の源ですね。
◆支流2暗渠(馬場4丁目方面流)
地図茶色ライン⑦
バス通り(馬場4-1)へ出てくる支流2暗渠
向こうからこちらへ流れ出て、この背後で本流暗渠と合流します。
この後ろは痕跡がなく、正面も建物の間で分かりにくい。たぶんあのフェンスがたってなければ気づかなかったかもしれません。
この流れも建物の間を暗渠が続きます
暗渠は馬場4-5付近で消えてしまいますが、先へ進むと馬場4-20付近、私有地内が窪地になっていてこのあたりが源と推定しました。
馬場4-18付近にも暗渠の痕跡を発見
この位置が谷底でないため、別流(支流2a)としましたが、馬場4-5付近で痕跡がなくなる支流2の先の可能性もありそうです。
先で谷奥の傾斜がはじまるあたりまで続いているようでした。
◆支流3暗渠(東寺尾3丁目方面流)
地図茶色ライン⑧
せせらぎ緑道の起点付近で本流に合流する流れです。
合流地点付近
背後から向こうへ本流せせらぎ緑道、左車止め向こうからこちらへ支流3の暗渠。
左へ行くと歩道、一般道となっていますが、その先で暗渠が出現します。
少々荒れ気味の暗渠
住宅の間を通って少しだけ一般道へ出てきますが、再び住宅の間に入って
ここから支流3暗渠はじまる、地点
そこから振り返って
痕跡なくなったところから谷奥方向を
すりばちの底、というか立派な崖がまわりに控えてました。
東寺尾3-23から。
◆支流4暗渠(馬場2丁目方面流)
地図茶色ライン⑨
本流と支流のせせらぎ緑道交差地点まで戻り、支流せせらぎ緑道(地図④)側へ入ります。
300mほどさかのぼると保育園手前で支流0(せせらぎ緑道)に合流する流れがあります。
合流点付近は一般道ですが、少し先で暗渠道が出現します。
先の細道が支流4暗渠道
入るとすぐに一般道路に突き当たります。
道路を渡った延長上、先の方から振り返る
駐車場と民家の間に側溝がありました。この部分だけ暗渠でないようです。
といっても流れはほとんどなし。
その上流側ははっきりしません。
下の道路が流路跡かと思われますが、行き止まり、その向こうは”馬場花木園”、公園(庭園)になっています。
公園内に池がありますが、その水とはつながっていないように思えました。
また、元々この流れの水量は少なかったのかもしれません。
せっかくなので馬場花木園に寄りました。1999年開園、最近少し拡張されたようです。
入口
藤本家住宅旧主屋
できたてほやほやの古民家でした(公開が、です)。
園内の池
方向違いでもう1枚
まだ紅葉がきれいでした
あ、あと馬場花木園近くの
馬場の赤門、旧澤野家長屋門
やっぱり1回にまとまりきらない。
入江川暗渠、次に続けます。