平塚市西部、大磯町との境界近くで相模湾に注ぐ通称花水川(はなみずがわ)、正式名称は金目川(かなめがわ)。この河口をスタート地点にしてさかのぼり、秦野市内で合流する支流の室川(むろかわ)に乗り換えて源流までたどってきた。そのときの記録。
花水川・金目川・室川行程
◆花水川
いま書いたばかりだが、花水川は金目川の下流部分での別名。古くから花水川の名前は広く使われていたようで、
旧東海道が渡っていたことや、近くに昔は多くの人の信仰を集めた高麗寺のあった高麗山(こまやま)、更級日記に登場する唐ヶ原(もろこしがはら)があることから、花水川の名前は広く知られていたという。(Wikipediaいわく)
まず花水川の河口に向かう。
JR平塚駅から大磯方面行きのバスに少し乗って下花水橋で下車。
下花水橋バス停
この付近の地名は撫子原(なでしこはら)、花水川をはさんで反対側が唐ヶ原、更級日記には「もろこしが原にやまと撫子しも咲きけむこそ」など人々をかしがる、という記述があるそうでそのへんが由来なのでしょう。
ここから海岸まで歩いて5分くらい。
花水川河口
湘南の砂浜と相模湾。
ほぼ同じ場所から花水川橋
通っているのは湘南海岸沿いに伸びる国道134号。向こう右端に見えるのが高麗山、そこから左の方へ湘南平など。
高麗山、湘南平などへ行ったとき
花水川橋のひとつ上流が下花水橋、ここで対岸へ渡る。
渡る前の下花水橋
橋の向こうが唐ヶ原、現在の呼び方は「とうがはら」というらしい。
見てもわかるけど、花水川の河原は草や木がぼうぼうに伸び放題。川面は見えないし下におりると視界がきかない。
東海道線の線路を越えると次は東海道(国道1号)の花水橋。どこに川が…
花水橋
このへんの歩道はせまい
人ひとり分ぎりぎりの幅、これで結構自転車が通る。まったくもう、と歩く人は勝手に思う。
花水川と河内川の合流点
向こう側が花水川。先ほどまでのとても細い歩道は解消、すれ違える程度にはなり、川面も見えるように。
平塚大橋
ここからしばらく上流に向かっては2本の川が並行して流れている。手前に流れが見えているのが金目川、向こう側には鈴川が流れる。それらが合流するこの付近から下流側を花水川と呼ぶようだ。
◆金目川
この少し先で東海道新幹線を越える。
新幹線ガードをくぐった先
新幹線の手前まではずっと住宅地だったが、ガードを越えると風景は田園地帯に変わった。
瀬切れ?
平塚市立金旭中学付近。上の堰から少しの区間だったけど水が途切れていた。ここより下流では流れが復活していたので、問題なし?
少し上流の吾妻橋付近
底は浅いけれど流れはある。また周囲は少しずつ住宅がふえてくる。
金目川はずっと沖積地の平らなところを流れてきたが、このあたりでそろそろ周辺の地形に段差が目立つようになる。
平塚市南金目付近
そしてまた、のどかなところにさしかかる(五七五)
ここも住所では平塚市南金目。こういう場所は無心で歩けてとてもよろしい。
座禅川(左)の合流地点
欠ノ上人道橋のうえから下流方向
平塚市から秦野市に入る。川沿いに歩道があるのはここまでなので反対側の県道に出る。県道には歩道がなく、車の数も多いのでしばらく川から離れ、近くの畑に沿った道をあるく。
時は麦秋
歩いてからまとめるまでしばらく時間が経ってしまった。この頃はまだ麦が刈られていなかった。
この先で東名高速の高架下、小田急線の線路を越えてしだいに秦野市の市街地へと入っていく。県道は川から少し離れてまた川沿いを歩ける。
秦野市東部、蓬莱橋の先で上流側
金目川と室川(むろかわ)の合流点
右から流れてくるのが金目川、左が室川で架かっている橋が室川橋。金目川はここから丹沢の山深く入って行ってしまう。先もまだ長く、追いかけていくのは結構ハードそうなので、今回はもう少し簡単に歩ける支流の室川へ移る。
◆室川
室川は金目川水系ではたぶん一番西側から流れ出してくる川である。
室川橋から上流側を望む
金目川との合流地点のすぐ上。ここは室川に水無川、逆川が合流した後の地点なので川幅を広くとっているけど、室川単独の区間は小さな川になる。
秦野は盆地地形なので中を流れる川の出口が限られる。盆地からの水の出口のひとつになっているのが東側のこの付近で、多くの河川がこの近くに集まって合流して外へ流れていく。盆地の外へ流れていく川はこの近くで合流するすべての水を集めた金目川だ。
根下橋から新常盤橋(下流方向を見る)
前の橋の先で水無川、逆川が合流している。
鶴巻橋から小田急線築堤
そのすぐ上流側の流れ
このあたり川が、せまい範囲だけれど結構深く谷を削っている。
渋沢丘陵
向こうに見える高台が渋沢丘陵、秦野市の南部を東西に伸びる。この北の縁を西から東に流れるのが室川。畑の向こう、丘陵の落ち込んだ縁のあたりを川が流れている。
室川起点付近の流れ
起点の標識(秦野市平沢)
川の起点まできた。起点といっても源流ではなく、この上にも流れはずっと続いている。起点とか上流端とか、行政上の管理区分が変わるので定めてあるだけのものでしょう。役所の都合。
この付近の川幅はずいぶん狭くなっているけれどこれより上流のほうでは、もっと川らしい場所もある。
起点の上流でいったんこの川は森の中の谷間を流れる。
流れは見ることはできないが、水の流れる音はする
さらに上流で住宅地の谷間を流れている
秦野市渋沢、栃窪境界付近
起点よりはだいぶ上流だが、川らしく見える。周辺の沢や湧水などをあちこちで集めて流れている。
それでもさらに1キロくらいさかのぼるとかなり流れは細くなる。
もうすぐ源流
その先で沢水の合流
そこから脇の細い坂道を上がっていくと
水が確認できたいちばん先頭の地点
あまり良い眺めではないけど。
その周辺、室川源流地点
草むらはおそらく元田んぼ、下がぬかるんでいて水が浸み出している。向こうの竹やぶの奥からも細い流れがあるような感じもしたが、入って行けそうもないのでここまでとする。
住居表示的には秦野市千村という場所。数百メートル先に尾根があってそこが分水嶺、そのすぐ向こうには四十八瀬川が流れている。