善福寺川を歩く 神田川合流点から善福寺池

善福寺川は東京都内を流れる一級河川である。杉並区善福寺公園善福寺池を源とし、中野区弥生町、杉並区和田の境界で神田川に合流する。河川としての公式な延長は10.5kmであるが、源流の遅野井の滝まで含めると11.3kmとなる。神田川の合流点には源流まで11.3kmの案内板が杉並区の名前でつけられている。

今回の散歩は神田川合流点をスタートし、源流の善福寺池からさらに北上して千川上水をちら見して上石神井に抜けることにした。


この川の散歩を決めたのは川沿いに歩道が充実していること、公園など緑地が多く、23区内にもかかわらず静かで落ち着いた雰囲気を持っていそうだと思ったことである。そして神田川を散歩したときの井の頭池と同じで源流が武蔵野台地の池にあることでその見比べをしたかったこともある。のちに石神井川もさかのぼって石神井池三宝寺池、富士見池も見比べすることになるのであるが。

ということで、この川の散歩を神田川の合流点から10.5kmでやめる人はいないぞ!の結論を最初に記しておいて。スタート地点は東京メトロ丸の内線の中野富士見町駅。なんか丸の内線の本線じゃなく支線なのね。

中野富士見町駅

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この出口を出ると写真右側がすぐ神田川の流れになっていて富士見橋がかかっている。橋の向こう側は商店街。ここは商店街のほうへは行かず、川沿いに上流側へ進んで善福寺川神田川の合流点をめざす。

神田川善福寺川の合流点

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神田川を川沿いに上流に向かって一般道を歩いていくと5分ほどで合流点が現れる。ただし道路と川の間にはコンクリートの護岸が塀のように連なっているので背伸びをしてのぞき込まなければ川が見えない。写真右側から流れ込んでいるのが善福寺川、正面奥から流れ込んでいるのが神田川。合流したあとは神田川なので善福寺川はここで終端となる。

以前神田川を歩いた時にも思ったのだが、どちらの川も水量、見た目の水質といいまったくといって同じよう、均質だ。東京都の河川事業による管理のなせる業ということか??

右側が善福寺川なので写真右側の方角へ歩いていく。この先環七と交差するところまでは一般道を歩くが川に沿って歩くことが可能。

杉並区和田2丁目付近 朝日橋から上流側

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合流点からさかのぼること250m程度。河床はU字溝神田川と同じタイプのものが続くが、柵がコンクリート壁から金属パイプ製のものに変わって、背伸びをする必要がなくなった。以降背伸びの必要のある場所はなかった。

環七通りを望む

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とある宗教団体の大きな建物群のあいだを通り、環七通りへ。

環七を越えて下流側を望む

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環七を越えるところに交差点がなく、大聖堂入口という交差点まで行って道路を渡る。(まあ大した距離ではないが)環七よりも上流側はずっと歩道が続いている。

善福寺川取水施設の建物と調整池の呑口

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神田川を歩く その2」でも書いたが、このあたりに大規模な調整池がつくられ、直径12.5mというどでかい水路管のトンネルが環七の下を通っている。大雨のときなどに神田川善福寺川妙正寺川の水量をそれぞれ調整して水害を防ぐためのものである。ここに写っているのは増水時にあふれる水を左側にある調整池へ流し込むための入口(呑口)。

済美公園にある親水施設から

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おそらく蛇行していた川の流れを直線化した改修工事のときに古い流れのあった部分を公園にし、遊歩道をつけて河原に降りられるようにしたのだと思われる。善福寺取水施設から上流はU字溝式の河床はなくなった。

堀之内橋近くで

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青空をバックに白鷺の乱舞

済美公園を過ぎると荒玉水道道路を渡って上流はすぐに和田堀公園の範囲にはいってくる。

和田堀調整池の先、宮木橋付近から上流側

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このあたり、川が北へ南へ何回も大きく蛇行しながら流れ、その流れに沿って和田堀公園善福寺川緑地と緑の豊かな場所がおよそ4kmほどにわたって続く。

和田堀公園の池

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大宮八幡宮の北側にあたる。野球場ありぃの陸上競技場ありぃのと公園のメインスペース。ただしこの池、全体に水が茶色く濁っている。どこから供給されている水なのかは調べていない。またこのあたり河川改修工事が行われていて岸辺の歩道が閉鎖されて通ることができないうえに、鉄板製の高い工事柵が張り巡らされて様子をうかがうこともできず。公園内を迂回して通ることになった。

白山前橋を越えて上流側・善福寺川緑地公園

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工事区間をぬけてまた川岸に復帰。和田堀公園から善福寺川緑地に名前が変わっているが別に風景はあまり変わらない。公園の管理上の問題くらいだと思うのでまあどうでもよい。

五日市街道にかかる尾崎橋の上から下流

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尾崎橋で交通量の多い通りに出くわすが、まだこの先公園が続く。

尾崎橋の上流側

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冬でもないのに川岸の桜の木に葉がない、と思ったら地面に落ちている大量の細かい黒い粒。木の枝を見ると寒気が走るほどの大きな毛虫の大群がもうたっぷりと。葉も食い尽くされているのでもう薬をまいても遅いかなといったかんじで。そんな木の下を数百メートルすすむと心持ちかゆくなる気がする。頭や背中にブツがくっついていないか確認した。

虫の被害を受けていない桜

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しばらく先で川がU字に蛇行、その先は元気な桜の木が。

川底

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澄んだ水ときれいな藻が見られた。

しかしこの先がまた護岸改修工事で鉄板製の工事用柵が張り巡らされ、迂回しなければならない。

善福寺川緑地公園の出口付近から下流

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結局こちらの工事は公園の出口まで続いていた。出口の神通橋からみると工事は川幅を広げているよう、この近辺は工事終了が近そうにはみえる。大きな工事にもかかわらず下流側の水が汚れていなかったようなので一応安心。

神通橋から上流側

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約4kmにわたって続いた緑地帯をすぎるとまた住宅地のなかをすすんでいく。歩道は両岸にあるが、この先とてもせまい箇所がところどころある。いちばんせまいところは大人がひとりふつうに歩くとだれもすれ違いできない程度、そんな場所でも自転車が道を譲れとベルを鳴らしてくる(かもしれない、としておく)。

上流側に松渓橋を望む 杉並区荻窪3丁目付近

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神田川の合流点に比べると、このあたり水量が多いように見える。

環八通りにかかる歩道橋から上流側 杉並区南荻窪4丁目

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標準的な都市河川の中流域というかんじ。水は澄んでいるのだけれど灰色の藻のかたまりみたいのが浮遊して流れている。

中央線ガード

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このあたりも灰色の藻のようなものがべったり川の水草にまとわりついている。

杉並区西荻北3丁目付近

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周囲は住宅地、川は淡々と流れ、という風景がこのあたり続く。暑いので左側の日陰を歩く。

川底に湧水

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荻窪中学校の近く、原寺分橋の下流右岸側に川底から湧いている湧水があった。中央下のまるい穴から水量は少ないが水が湧いていて直接川に流れ込んでいる。川は写真を横に流れている灰色の水の部分。ちょっとわかりにくい。近くに湧水の案内板が立てられていた。

寺分橋から下流

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この橋の下流側に小学校があり、その敷地内を川が流れている。学校の敷地内は蓋がされていて暗渠のようになっているようだ。

杉並区善福寺1丁目付近

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この先川が左に曲がっていくともう善福寺池だ。地名も善福寺となった。川の中には草がはえているが、この風景は神田川の上流、井の頭池から流れ出したあたりでも見た。

向こうにちらっとあるのがこの川の最上流にある美濃山橋

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善福寺池から水が流れ出したばかりの場所、である。ここへきてまた真ん中にU字溝がある河床になっている。

美濃山橋の下を覗く

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こちら側が下流になる。流れが2本合流している。善福寺池は上池と下池の2つある。向こう側の石が置かれているほうは下池から流れ出している水であるが、その右側の水路からの水量もおなじくらいある。この水は何だろう。上池からのものだろうか。

美濃山橋の反対側(上流側)にまわって

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反対側にまわっても左側はどこからの水なのかわからないので、あとで調査してみよう。

ネットで調べてみたところ、千川上水を流れている高度処理済みの下水を途中からこちらに送水し、ここから放流しているとのことである。善福寺川の源流は善福寺池の水だけではなく、下水処理場で処理された水もあるということ。

なお冒頭に書いたが、神田川との合流点からこの橋までの距離が公式には10.5kmであり、ここが河川としてのはじまりである。ここから上には公園と池があって距離としては約800m。ここからの公園内がなかなかいいところで、ここで引き返すという手はないはず。それで杉並区的には神田川合流点に源流からの距離を11.3kmと置いたのだろう。

善福寺公園に入って、下池のようす

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下池は全体に植物が繁茂して池全体を見渡すことができるような環境ではない。ただこれはこれでここで生活する小動物や昆虫などには都合がいいのだろう。植物類もふくめてそれらの保護にも役立っていると思う。

葦原になっている下池

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この善福寺池、現在は上池、下池の2つの池があるが、明治42年測図の古地図を見ていたら下池がなかった。上池から直接川が流れ出していて、いまの下池のなかを流れているが、池はなく、周囲は田んぼ。そして上池もいまよりやや小さくそのまわりも田んぼだった。下池ができ、上池の面積が広がったのはその後の地図を追っていくとどうも太平洋戦争前後である。

上池へ

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上池と下池の間は少し離れている。途中に一般道も通っており、そこを横断して上池側へ移動する。上池は下池よりも面積が大きく、葦なども生えていないため見通しもよい。周囲の木立ちのたたずまいといい、この風景は個人的にとても気に入った。

上池から池の奥側を望む

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上池から池出口方向を望む

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遅野井の滝(源流)

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ついに善福寺川源流にたどり着いた。ほかにもあると思われるが、このあたりの湧水が集まって池を成し、そこから流れ出た川が善福寺川である。しかし、現在、この遅野井の滝の湧水は枯れてしまい、いま流れている水は地下からくみ上げたものだそうである。川の源流でもすでに下水処理水があわせて流されており、都市化による地下水量の減少は深刻である。

上池から弁天堂の屋根が見える

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弁天堂の右奥木立のなかに遅野井の滝がある。

これも上池から

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さらに上池から

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善福寺川の源流、遅野井の滝までを歩いたが、それほど遠くないところを千川上水がとおっているということがわかったので、もよりの駅まで歩くついでに千川上水をちら見した。残念ながらそちらの写真は撮っていなかったので掲載できない。

ちょうど千川上水が開渠になっている最後の地点、青梅街道の関町1丁目交差点の近くへ出たのだが、あとから調べてみると、この付近で上水の水が回収されて地下を通り、善福寺下池から善福寺川に流れ出す地点で池から流れ出す水と合流させていたことが分かった。

そして水が回収されてなくなってしまった千川上水の元の水路は下のように一部緑道が整備されていた。

千川上水緑道

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緑道自体はまだこれから整備の予定があるのか、この区間はわずか数百メートルしかなかった。緑道が切れた地点で交差点を折れ、西武新宿線上石神井駅へ出た。

上石神井駅にて

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きゃりーぱみゅぱみゅトレインというピンクの電車が来ました。

本日の散歩は14.5km。

善福寺川と合流する神田川を歩いたときのノートはこちら

 

miwa3k.hatenablog.jp

 

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