神奈川県愛川町半原から横須賀市逸見(へみ)まで、およそ53kmにわたって伸びていた送水路、横須賀水道半原系統の水道みち。
最初は愛川町半原から海老名
2回目は海老名から藤沢
と歩いてきた。
3回目は藤沢から水道みちの終点になる横須賀市逸見浄水場までたどる。
その3行程
今回のスタート地点は藤沢、といっても東の端、鎌倉市との境界からとなる。とりあえず藤沢駅に下りてスタート地点まで歩く。
藤沢駅
右へ行けばJR、左へ行けば江ノ電とバス、タクシー駅前ターミナル。
駅前から東方向へ行き、前回柏尾川に架かる水管橋の右岸側で離脱した。今回はその左岸側からスタート。
横須賀水道半原系統の水管橋
半原系統の廃止に伴ってこの水管橋は現在使用されていないはずである。
川の向こう岸は藤沢市、こちら側は鎌倉市。
水管橋の先を横須賀方向へ、最初はまっすぐの道が伸びている。
柏尾川水管橋近く(鎌倉市笛田1丁目)(横須賀方向)
東方向へしばらく行くと湘南モノレールの下を交差。
送水管を重量物から守るため、道路中央に障碍を設けて大型車の進入を阻止している。
大型車対応の改修工事はそれなりに大変なのだろう、現在でも送水管や川の暗渠上の道路は遊歩道や軽車両のみ通行可能なところが多い。
すぐ先の深沢交差点で水道みちは県道32号(藤沢鎌倉線)に合流し、長谷観音前交差点までこの道路に沿って進む。途中大仏切通し、鎌倉大仏、長谷寺などの近くを通過する。この区間は古くからあった道路に沿って送水管を敷設していて、一直線の水道みちにはなっていない。
大仏切通し下の大仏隧道
修学旅行か遠足か、小中学生のグループがたくさんトンネルに吸い込まれていく。大仏切通しの道はトンネルに入らないのだけど…
大仏殿へのアプローチ
鎌倉大仏と長谷観音をつなぐ県道側はたくさんの観光客でぎっしり。思わずひとつ裏の細道を使ってぬけてきた。
長谷観音前交差点で送水管路は左折。県道32号から311号(鎌倉葉山線)にはいるとこちらはほとんど観光客は見えない。
長谷観音前近く
この県道を次の信号(文学館入口)で分岐する道へ折れるとまた水道みちのまっすぐな道路となり、江ノ電の由比ヶ浜駅前を通る。
由比ヶ浜駅前踏切と水道みち
駅名も入れるつもりが”由ヒ”だけだ…
駅前から東方向へ進むと鶴岡八幡宮への参道、若宮大路と交差する海岸橋交差点へ達する。
海岸橋交差点
左右に横切るのが若宮大路、こちらは直進する。
海岸橋から滑川にかかる水管橋(右が横須賀方向)
送水管は2本かかっているはずだが、1本しか見えてない。(2本の内訳も不明、どちらかは半原系統の送水管)
水管橋の延長上が水道みちなのでそこへ戻り、先へ進むと
水道路交差点がある(愛川町方向を向いて)
国道1号藤沢バイパス付近で半原系統の送水路から分かれて、北鎌倉から建長寺前、若宮大路などを通ってきた横須賀水道有馬系統がこの交差点で再び合わさる。
交差点奥から手前へ半原系統、右からきて手前へ曲がるのが有馬系統である、といっても見えるわけじゃない。
こちらは有馬系統の送水管路トンネルを別の日に撮ったもの。
巨福呂坂送水管路ずい道
建長寺前から鶴岡八幡宮横へ出る道路が巨福呂坂洞門にさしかかる脇にて。
水道路交差点から先へ進む。
海の文字が海軍標、道しるべには「右大師道」とあったが詳細は不明。
左の水道みちを行くと、県道311号(先ほど長谷観音近くで少し歩いた道路)に合流し、名越坂にさしかかる。鎌倉七口のひとつ名越の切通しが近くを通る。逗子方面から鎌倉へ至る入口で、現在の道路は3つのトンネルで通過、送水管路も道路横のトンネルで通過している。
名越送水管路ずい道入口
道路トンネル横にひっそりとあった。入口手前は鎌倉市の資源回収車両駐車場になっていた。
県道いちばん逗子側の小坪トンネル(下り線、鎌倉側入口)
このトンネルも送水管用のトンネルも建設されたのは大正時代、ほぼ同時期だそうだ。送水管路トンネルの逗子側出口は草がぼうぼうだった。
トンネル付近で逗子市にはいり、しばらく県道をそのまま進んでいく。
逗子市街地に近い池田通り交差点で県道は右に折れるが、「水道みち」はここをまっすぐ行ってJR逗子駅前へ出る。
JR逗子駅前
タクシーのりばの下あたりを送水管が通っている。方向としては向こうが愛川町、手前が横須賀。
駅前から東へ進むとすぐに京急逗子線踏切を越え、田越川を下田橋で渡る。
下田橋の横に送水管が通っていた
こちらは有馬系統送水管、反対側には半原系統送水管が残っているらしいことを後から知った。
逗子警察署前、JR東逗子駅前などを通過して水道みちは県道24号(横須賀逗子線)に合流する。
県道24号合流点
右が水道みち(愛川町方向)。
県道24号に入って逗子アーデンヒル入口交差点横に門つきの塀に囲まれた細長い土地がある。
門と中を塀に囲まれた駐車場
工場か何かの入口のようにも見えるが、この中を送水管が通っているらしい。この場所だけ塀で囲まれているのはかつて資材置き場などとして利用していたのだろうか。
通り抜けた反対側にも門がある
送水管はここから県道を越え、その先の田越川、横須賀線線路なども越えて向こう側の丘のふもとへ出る。
その先、横浜横須賀道路手前
道路左側の広い歩道の下に送水管が通っていると思われる。
また横浜横須賀道路に沿って小雀系統という、相模川寒川取水場から横浜市の小雀浄水場を経由してくる系統の送水管が合わさり、3系統の送水管が並行する。
うち2本の送水管が小川の上、水管橋で通っていた
水色の2本、有馬系、旧小雀系と記載されていた。右側のものは不明。
横浜横須賀道路の下をくぐって坂を上がると横須賀市水道局田浦配水場。
田浦配水場前
配水場は浄水した水を各家庭などへ分配する施設。半原系統は原水なのでここは素通りしていた。
逸見浄水場に向かうための半原系統送水管路は配水場前を通りトンネルで山の向こう側へぬけていた。
盛福寺管路隧道入口
田浦配水場側のトンネル入口。近くに盛福寺というお寺があるためこんな名前。
このあたり意外に険しい地形で、トンネルの反対側へ出るのにずいぶんな距離を迂回しなければならなかった。(山越えするけもの道があるらしいけど、今回その手には乗らない。)
トンネルの途中に逗子市と横須賀市の境界がある。
盛福寺管路隧道、横須賀市側出口
煉瓦造りのトンネルは半原付近にあったものとほぼ同じで、中もすべて煉瓦だった。ようやく送水路は横須賀市に入った。
トンネル出口を背にして
すぐ向こうに別のトンネル(田浦山隧道)があるが、そちらは一般道で通行が可能。
田浦山隧道をぬけると下り坂になって、下り切ったところで京急線のガード下をくぐる。すぐ右側にはJR横須賀線の線路も道路と並行している。
京急線とガード
道路の下には送水管が通っていたはず。その証拠にこの付近にも海軍境界標が結構残っていた。
そのまま真っ直ぐ進むと道が二又に分かれ、右へ曲がっていく方が送水管路ということ。すぐ先で国道16号と合流する。
国道16号との合流地点
送水管は右側の歩道の下あたりを通っていたのかなと想像。上を横切っているのはJR横須賀線。このあたり横須賀市田浦町4丁目。
国道に出ると5つのトンネルを通過する。
1番目の左(下り線)田浦隧道、右(上り線)新田浦隧道
5つのトンネルは全部上下線が別になっていて一方が〇〇隧道、もう一方が「新」〇〇隧道。送水管は必ず「新」隧道の下を通っているとどこかに書かれていたけど出典を忘れた。
最初は上り方向が「新」つきで、途中から下り方向が「新」つきになるのだ。
全部トンネルを通っていくのもおもしろくないので、いくつかトンネルの上を山越えしてみた。
山の上から見えたものは最後に「おまけ」で紹介。
5つめのトンネルをぬけてしばらく行ったところ、
汀橋交差点
国道正面が”愛川町方向”となり、この交差点を左の道路に入ると逸見浄水場に達する。
田浦町で右折して国道に入り、汀橋交差点でまた折れて「コ」の字型のコースをとっている。
また京急線の下をくぐり、その先は浄水場へ向かう急坂(ちょっと光線の状態が悪い)
この坂の途中に浄水場の門がある。
逸見浄水場正門前
ちょうど車の通行があって門が開いたが、水道関連施設のセキュリティは厳重。この先勝手に入るとヤバいので素直にここでゴールとする。
銘板が目立たなかったので、念押し
送水管の長さは53kmと言われるが、実際に歩いた距離は70kmくらいになった。
周囲に監視カメラが何台かあるし、ここにいても仕方がないのでUターンして京急線逸見駅へ。
逸見駅ホームから
横須賀市のこのあたりは土地の起伏が激しく、結構すごいところに家が建ってるなあと思う。車で家の前へたどり着けないんじゃないかな?
【おまけ】