散歩の途中

散歩の途中で観察記録、その後少し調べて書くノート

大落古利根川を歩く 春日部・牛島から杉戸町役場近くの清地橋

大落古利根川をさかのぼって前回、春日部市牛島、牛島人道橋という小さな橋まで来ていました。渡ったところに中川合流点から13㎞の標識がありました。

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続きを歩きます。

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八幡橋を行き過ぎ、14km標識

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ここから前方に見える橋は埼葛橋(さいかつばし)

 

近くで旧倉松落(きゅうくらまつおとし)(別名、幸松川(こうまつがわ))の細い流れが合流しています。

合流点にて、八幡橋を振り返る形で(春日部市樋堀)

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旧倉松落、合流点の数メートルしか見えてませんが、背後にある流れ、古くは倉松川とも呼ばれていました。

倉松川
江戸時代初期に幸手領の農業用排水路として掘られたものです。
はじめは上記の現:春日部市樋堀で大落古利根川へ流れ込んでいましたが、水流が滞りやすく、洪水対策として現在は新しい流路を分岐開削し、中川へ合流させています。そちらへ現在の延長は13.8㎞。
この付近は旧流路の末端で、使用済みの排水となるので「落とし」をつけ、「旧倉松落」と呼ばれています。
こちらの合流点から500mほどさかのぼると明治24年(1891)竣工のレンガ造り4連アーチ橋形式の逆流防止用水門、倉松落大口逆除(くらまつおとしおおぐちさかよけ)(通称めがね橋、土木学会選奨土木遺産)が残っています。〈今回は訪問できず〉
古利根川から旧倉松落へ洪水が流入するのを防ぐために設けた水門です。

 

春日部市街地に入って、橋の密度が高くなります。

埼葛橋(さいかつばし)上流側から

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国道4号(日光街道)の橋梁、架けられてから年月が経ち、橋幅せまく交通量が多いので両側に人道橋を設置してます。

 

次が350mほど上流に春日橋

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こちらも古そうな橋です。人道橋かと思ったら一方通行の一般橋でした。

さらに古い橋脚跡でしょうか、現橋梁の下あちこち水面からちょっと顔を出してます。
この付近川の右岸側、古くは日光街道粕壁宿でこの橋付近には河岸(下喜蔵河岸)があり、荷船の往来がさかんだったそうです。

 

その次は春日橋の200mほど上流
古利根公園橋(春日部市粕壁東1丁目ー春日部市八丁目間)

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下流側、古利根川テラスから。

 

春日部駅から北へまっすぐ伸びる道に架かる橋です。市制30周年を記念して架けられ(1984年開通)、橋の上は公園にもなっています。
橋上のブロンズ像などと

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公園部分しか写してませんが、当然車道もあります。

 

その先また200mほどで次の橋、新町橋です。

新町橋下流側から15km標識と

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現在はとりわけ特徴もない地味な橋ですが、江戸時代、粕壁宿周辺で唯一の橋、名称は「大橋」だったそうです。

この橋の近くにも河岸(上喜蔵河岸)が存在しました。

 

新町橋から古利根公園橋方向

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同じく橋上から上流方向

隅田川(ふるすみだがわ)合流

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隅田川と呼ばれる、現在は小さな川が古利根川へ合流しています。今は穏やかな細流ですが、これが中世以前には利根川本流だったこともあるという…

隅田川
現在の流路延長は4.8km、大落古利根川の支流です。さいたま市岩槻区南平野に管理起点〈源流とは言ってない〉があって北東方向へ流れ、旧古隅田川などと合わさり、春日部市梅田で大落古利根川に合流しています。
これが古い時代(中世以前といわれてます)、現在とは逆方向に流れる大河、現在の大落古利根川、当時の利根川本流であった(その当時は隅田川、角田川と呼んでいたらしい。その下流は現在都内の隅田川にもつながっていた)そうです。
春日部市梅田、現在の合流点付近までは大落古利根川の流路を下って、方向を南西に変え(現大落古利根川の流路と流れが2つに分岐していたようです)、ほぼ古隅田川の流路を逆に流れてさいたま市岩槻区長宮付近で荒川(現在の元荒川)と合流していました。
江戸時代初期の利根川、荒川の合流点よりもだいぶ上流で合流していたことになります。
利根川東遷、荒川西遷事業により両河川の水量が減少し、古利根川の主流路も変化、その後古隅田川は流れる方向が変わり、(元)荒川流路とも離れるなどで現在のような形になったということです。
元々大河だった痕跡は、流域に土砂が堆積してできる自然堤防が発達しているほか、人為的に設けた堤防が残っていることなどで確認できます。(両岸堤防間の幅もかなり広いです。)
〈()が多くて見にくいですね、すみません〉

 

隅田川合流の上流左岸側(春日部市小渕)

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周辺は両岸とも住宅地です。

 

少し先へ進むと国道16号・春日部大橋です。

春日部大橋上から大落古利根川上流方向

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この付近で川幅はおよそ100mです。水量は豊富にみえますが、とても浅く、見た目ほど量はないようです。

 

右岸側へ渡って振り返り、春日部大橋

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水が古隅田川へ流れ込んでいた当時はこのあたりで流れが2つに分岐(分派)していたようです。

 

その近く16㎞標識(春日部市梅田本町1丁目)

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左側に見えるのは小渕橋。

 

上にも写っていますが、対岸に大きな樋門(水門)があります。
正面から

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河川施設で巨大な除塵装置も見えていたのですが、通りかかったときにピンと来ませんでした。〈あとで振り返って気づいた次第〉

正面に見えるのは川の水を引き込む、吞み口です。ここから江戸川まで地下トンネルで続く首都圏外郭放水路が通っています。
江戸川近くに『地下神殿』と呼ばれる巨大なコンクリート柱が林立する地下調圧水槽を持つ最近完成した放水路、ここが起点で、大落古利根川、幸松川、倉松川、中川などの洪水を地下水路に落として江戸川へ放流するシステムです。

この時は水量少なく、放水路側への流れ込みはありません。
施設名は「国土交通省首都圏外郭放水路(彩龍の川)大落古利根川流入施設」だそうです〈長い〉

 

小渕橋から下流方向

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春日部市街地方向。

 

橋を渡ってすぐ上流側で右岸に隼人堀川(はやとほりかわ)が合流します。
隼人堀川合流

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正面奥から流れ込むのが隼人堀川、手前右から左に大落古利根川

隼人堀川
起点からの延長14.3km。上流部は1728(享保13)年栢間沼(かやまぬま)干拓に伴って開削された排水路、下流部もその頃周辺新田開発に伴う排水路として開かれました。現在も白岡市周辺の農業排水路の水を集めた川です。〈『落とし』ですね〉

 

隼人堀川合流から上流へ600mほど

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川のこちら側は春日部市杉戸町境界、対岸も宮代町との境界。右側対岸に笠原沼落(かさはらぬまおとし)が合流していますがわかりにくいです。小さな流れです。

笠原沼落は文字通り、笠原沼の干拓排水路として江戸時代中期に開かれた流れです。笠原沼は現在の宮代町、東武動物公園周辺に存在していました。

 

さらに200mほどで姫宮落川(ひめみやおとしかわ)の合流です。

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姫宮落川
笠原沼落と同じく、笠原沼の干拓排水路として開削された『落とし』です。現在は久喜市下早見付近を起点として、白岡市、宮代町を流れ下る排水路的性格の河川です。

 

ここまでいくつか小さな川、落としの合流がありましたが、しばらく単独の流れとなります。

左岸杉戸町本郷、上流を見て

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堤防上の道路へ出て振り返り

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遠く、富士山が見えてました。〈流れの左側に雪をかぶってちょこっと〉

 

川の流れが方向を変えた先に1本橋が架かっていました。

宮東橋(みやひがしはし)下流側から(杉戸町堤根)

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手前が道路橋、奥、上に架かるのは水管橋。

 

宮東橋上から水管橋ごしに上流側

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川幅は広いですが、平らな川底を水がうすく流れてます。

左、宮代町側の道をさかのぼって次の橋まで向かいます。

 

宮東橋を渡り終えたところ(宮代町宮東)

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このへんは流れがゆるやかに蛇行

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中川合流点から20㎞標識(宮代町中島)

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ちょっとレトロな建物の工場がありました。山田護謨(株)
川側は裏から見ている格好になりますが

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その先、清地橋(せいじばし)が見えてきます。

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埼玉県道154号蓮田杉戸線の通る橋。渡った先に杉戸町役場があります。

橋の先は杉戸町、宮代町の市街地、川が両町の境界です。東武動物公園駅の近辺になります。
また、古くは左岸側が日光街道杉戸宿でもありました。

 

長くなりましたのでここでまたいったん刻みます。次回は大落古利根川起点まで到達する予定です。

 

前回

miwa3k.hatenablog.jp

続きです 

miwa3k.hatenablog.jp

地図:今回分は《大落古利根川(3)》