矢上川を歩く【川崎】その1 水源のあった緑地から下って宮前平まで

矢上川(やがみがわ)を下流側からさかのぼって歩いたのはおよそ7年前でした。

この時はたどった流路が源流近くであやふやになってしまったこともあり、改めて川を辿ってみました。

今回はかつて『清水頭(しみずがしら)』と呼ばれた水源のあったあたり(現在の川崎市宮前区水沢・菅生緑地東地区)から下って鶴見川合流(川崎市幸区南加瀬・横浜市港北区日吉境界)地点へ歩きました。
また、途中宮前美しの森公園にある別流(支流)の水源にも寄りました。

〈その1〉では上流部分、水源から宮前平まで、いくつかの支流も含めて流路を特定することに徹しました〈が、まだまだ完全とはいえず、辿って歩いたあとから気づかなかったあれやこれやが出てくることったら...それはともかく〉

 

ところで少し前に『平瀬川』を源流近くから歩きました。

平瀬川の源も川崎市宮前区水沢・菅生緑地西地区内にあり、矢上川・清水頭からは西(矢上川の流れから見ると上流方向)に500mほどの距離しか離れていません。

川崎市と横浜市を分ける丘陵尾根北側斜面の湧水が両河川の源になっていて、流れはすぐに合流していても不思議ではないのですがそれぞれ独立に流れ下って平瀬川は多摩川に、矢上川は鶴見川に合流します。〈それもともかく〉

 

まず矢上川水源、清水頭のあった菅生緑地(東地区)へ向かいます。

菅生緑地(東地区)
横浜・川崎市境となる丘陵尾根斜面から下るところ


下ると平らな公園広場かつては谷戸の奥になり、足元は浅い谷で底を矢上川源流の水が流れていたはずです。
その水が湧くところが「清水頭」と呼ばれて、この緑地内にあったことは確からしいですが現在は痕跡もなく正確な位置を特定することはできません。

1980年前後に隣接する川崎市中央卸売市場北部市場、尻手黒川道路の建設工事などが行われ周囲の起伏はならされて地形は改変されました。

その一部が菅生緑地(東地区)となったのですが、清水頭やそれに続く浅い谷間は盛り土などで埋められたようです。
現在源流部の水の行方、たとえば完全に埋めてしまったのか、地下を導水管のようなものが通されているのかなども確認できません。

 

菅生緑地と川崎北部市場の間へ出ますかつて清水頭からの流路が通っていたところです。
この付近で緑地を外れ、北部市場(道路左擁壁の向こう)へ斜めに入っていったようです。

その先は現在の北部市場敷地東側から外へ出て、隣りにいくつか建つマンションの敷地を斜めにぬけ、尻手黒川道路沿いに流れていました。

航空写真では現在そのマンション敷地の間に人工的に敷きなおされた水路暗渠のようなものが確認できます。
私有地になるのでそこは辿れませんが、先へまわってみると水路があって水の流れているのを見ることができました。

最初に確認できた矢上川の流れ緑の車の後方下、暗渠出口となってこちらへ水が流れてくるのが確認できました。菅生緑地からの距離は5~600mです。

 

水路はやや方向を変えて前方の尻手黒川道路へ出ていきます(宮前区犬蔵3丁目)でもそこからまた地下に潜ってしまいます。

 

下流方向へいくらか進んで

尻手黒川道路の歩道に流れの痕跡歩道足元のコンクリート舗装+グレーチング部分、先ほど少しだけ顔をだした流れが下を流れています。

時々道路からそれてその脇を通ったりしながら先へずっと続いていくのが確認できました。

古い航空写真と重ねると源流部の矢上川は(細かく蛇行していますが)ほぼ現在の尻手黒川道路に沿って東へ下っています。
川の流れによって開析された谷間沿いに尻手黒川道路をのばしていったというのが正しいでしょうか。

しばらくこの道路を伝って先へ進みます。

 

犬蔵公民館前バス停脇では一時的に水の流れも見えたりして

そのバス停先交差点を渡ったところ歩道からそれて右擁壁の下にコンクリート蓋がかけられた暗渠水路が伸びていきます。

少し先へ

後から分かったのですが
正面先の白い壁の家の前で矢上川本流水路は左折し、尻手黒川道路を横切って北側にある別の水路と合わさっているようです。

ですがここを歩いていたときには、水路が途中で左折していることは分からず、そのまま道路を直進しました。

そして直進した先で住宅の間に水路の痕跡を確認します。この時は当然ここまで追ってきた流路(本流)の先だと思いましたが、水路の行方をここで見失ってしまいました。

 

その後確認に時間を要しましたが

・本流(下の地図で「矢上川本流」)は道路途中で左折して尻手黒川道路を横断していること
・👆の蓋つき側溝は本流のものではなく数百メートル離れた丘陵斜面からはじまる別の水路(下の地図で「支流4」)であること
がわかり、本流流路の特定にめどがつきました。

〈行方を見失った蓋つき側溝水路(支流4)の先がどこへつながっているかは相変わらず不明ですが、本流ではないので放っておくことにしました💦〉

 

ややこしくなったので今回登場する水の流路を地図におとしてみました〈参考になるかな?〉

 

再び本流を追います。

犬蔵公民館前バス停先の交差点にもどり、尻手黒川道路を横断して北側に出ます。

そちらには小さなU字溝があって水が流れてくるのが見えました。
近くに丘陵の崖がありそのどこかから湧く水、ここにも小さな支流(上地図「支流2」)がありました。

この流れはすぐ暗渠となって尻手黒川道路北側の道を進みます。
はじめは細いU字溝〈これより手前(上流側)ではさらに細くて蓋もないですが〉

 

そしてちょっと先で清水頭からの流れ(本流)が尻手黒川道路を横切って合流すると水路幅が広がります。

コンクリート蓋になって市道(向ヶ丘遊園駅菅生線)にぶつかる手前右がその暗渠蓋
その市道(前を車が走っているところ)は右へ50mほど行くと尻手黒川道路との犬蔵交差点に出ます。
(その交差点あたりはこの後また出てきます)

本流は市道を横断してその先へ進みますが

突然方向を変えて


さらに建物の間を折れ曲がって向こうから流れが顔を出しましたこの地点は手前左から来る流れとの合流地点、さらに右へと流れていきます。

次にこの合流点で左から来る流れを上流側からたどります。あとでまたここへも戻ってきます。

 

いったん犬蔵交差点へ交差点の北側から見てます。

背後から正面へ向ヶ丘遊園駅菅生線市道、本流暗渠がすぐ背後を横切っています。
交差点左右に尻手黒川道路です。尻手黒川道路の右へ矢上川の上流方向、左へ行くとすぐに東名高速川崎ICになります。
ここで正面奥(南側)から交差点に出てくる矢上川の支流(地図「支流1」)があります。

 

犬蔵交差点から支流流路に沿って約700m、その水源(のひとつ)にジャンプ。

宮前美しの森公園内の池(宮前区犬蔵2丁目)
池奥方向を見て水量も少ない小さな池ですが、正面階段の脇に少量の湧水がありました。(そのほかにポンプで池に補水されているようでした)

〈赤くて見た目がよくないのですが〉湧水のあるところ

横に「この場所で見られる赤い沈殿物について」という説明がついていたので抜粋

この場所に出ている水は自然の湧き水ですが、水に含まれる鉄分(鉄イオン)を酸化する鉄バクテリアが繁殖しているため、湧水の流路はさびた鉄のような色の沈殿物が見られるようになっています。水面に見られる油のようなものもこのバクテリアがつくった酸化鉄の膜です。
鉄バクテリア自体は地下水や湧水に普通に生息しており、他生物への悪影響などはありません。

この場所も清水頭と同じ川崎市と横浜市を分ける丘陵尾根北側斜面にあたります。
現在はここが矢上川支流(のひとつ)の源頭となっています。

かつてはさらに上流方向にも湧水がありその水と合わさっていたようですが、上流部は埋められていくつかのマンション建物に変わっています。

この支流からの流れは公園内ですぐ暗渠となってしまいます。

 

そのまま家の裏、建物間のすき間を暗渠(一部開渠)で流れ、向ヶ丘遊園駅菅生線道路に出てきます。右、人が歩いている細道の下を向こうから水が流れてきます。
またこの付近では宮前美しの森公園とは別の水源からの流れとも合流している(た)ようです。

これより下流へは左の道路を渡り、犬蔵交差点近くで尻手黒川道路のほうへ流れの方向を変えます。

 

右へカーブして尻手黒川道路のほうへ方向を変えているところ〈またしても見てくれが良くないけど〉いろいろ物が置いてあるところが流路でフェンス沿いに右カーブ

左に犬蔵交差点、右フェンス向こう側は東名川崎ICになってます。

 

尻手黒川道路歩道に出て下流方向暗渠蓋の先、フェンスのところでIC敷地内からの排水路などを合わせ、左へ道路を横断していると推測されます〈痕跡が少なくてわかりにくい〉。
道路正面の高架は東名高速本線です。

 

その高架下、尻手黒川道路を横断してすぐに流れが顔を出しますが、先ほども通りかかった本流との合流地点です。

合流地点同じ位置から別角度で左から美しの森公園など(支流1)、右から清水頭などの流れ(矢上川本流)、合流して右下へ下り、すぐに手前へ方向を変え

東名高架下を横断しています高架を横断したところからはまた暗渠になってます。

その先に見える緑は「東名土橋公園」、暗渠はその脇を通過し、尻手黒川道路と東名川崎IC料金所への道路交差部分を横切って尻手黒川道路南側に移っていっとき流れが顔を出します。(その部分は現地で流路追いきれなかったので記録ありません)

東名川崎IC付近は矢上川流路があちこち引き回されて複雑になってます。

 

さらに話をややこしくするのがこの付近に現れるもう1本の支流(上地図「支流3」)です。

現東名川崎ICの北西側、犬蔵小学校と犬蔵中学校に挟まれた一帯は「篭久保谷」という谷地形になっています。
その周辺にたぶん湧水があるようで、流れのはじめは見えませんが東名高架下で顔を出します。

暗渠部分の水路前方にみえる東名高速高架橋へ直進し

そこで方向を変えて少しだけ東名本線道路と平行に流れます


少し先では右折、高架をぬけて一般道路脇の流れになります(宮前区土橋6丁目)かつてこの篭久保谷からの流れは清水頭や宮前美しの森からの流れと合流し1本の流れとなっていた頃もあったようですが、川の流れに沿って水田が開かれると2本に分岐して片方を田んぼへの給水、他方を排水として利用するようになり、その名残りで現在も水路が2本あるようです。

 

2本の水路は現在の東名高速高架から1.2㎞ほど下流、宮前平駅近くで再び1本にまとまっています。

2本の流れ
まず尻手黒川道路北側の篭久保谷からの流れ(支流3)に沿って

土橋8号橋上から下流方向


土橋6号橋付近から上流方向

そして駅に近づくと流れの上部は自転車駐輪場となります。

 

清水頭からの流れ(矢上川本流)に沿って

こちらは東名川崎IC近くが暗渠あるいは追いかけ損ねたりで記録なし
はじめは尻手黒川道路土橋交差点歩道橋から

歩道橋階段下まで暗渠、方向を変えて流れが顔を出してます。

この先は尻手黒川道路、建物ひとつ分後ろ側を道路と大体並行して流れていきます。

土橋交差点歩道橋を前に流れが斜めに入っていくところ、まわりこんで


土橋2丁目公園付近


土橋3号橋上から下流方向


2本の流れがまとまる手前、尻手黒川道路を横切ります穴の上、尻手黒川道路に古い橋の欄干が残されています。

ちなみに道路反対側の欄干は残っていませんが、コンクリート製の護岸壁のようなもの?がありました。

また(本流と支流3)合流地点は駐輪場となっていて場所は特定できますが流れを見ることはできません。(またここの合流点より下流は本流1本になります)

 

駐輪場の先へまわり込むと

東急田園都市線宮前平駅前駅入口直下に流れがあるようですが見ることはできません。

 

駅前を通過するとすぐまた駐輪場があってその下に続いているのですが、ここでいったん刻むことにします。