その1、その2の続き、というより流れを変えての3コマ目です。
今回も地図には写真を撮った位置をマークしています。マップ中のマークアイコンをクリックすると出てくる番号がノート内の写真番号になります。過去分のマークはわけがわからなくなるおそれがあるので省略しました。以前の写真の情報はその1、その2内の地図を参照してください。
府中用水・関連地図
今回は、おもに国立市内の府中用水本流、本流から谷保堰で分かれる谷保分水を取り上げます。マークの集中している箇所になるので、説明するより地図で見た方がわかりやすいかもしれないですね。
◆府中用水本流
多摩川からの取水口より先を辿っていませんでした。
訪れたのは農閑期シーズンで取水口のゲートは開放されておらず、本流はしばらく空堀状態の用水路です。
多摩川(+根川)導水路と緑川排水樋管出口
> 052
階段状に横切っているのが緑川(”府中用水その1”で取り上げました)の多摩川への排水口です。正面むこうに多摩川からの分水が流れてきて府中用水取水口を通り、緑川排水樋管出口の下をトンネルでくぐって、この背後でまた姿を現します。
ただ、このシーズンは取水口の門が閉じているので背後に水の流れがありません。それとトンネルの出口付近は木や草が密生して様子が観察できない状態でした。
取水口から400mほど下って、最初の橋(用水橋)のうえから
> 053
右側は青柳崖線、その際を流れてきます。水はありません。
ちなみに”ママ下湧水”と清水川の源流もこのすぐ近くですが、清水川源流周辺は私有地で近づけませんでした。
また50mほど本流を下ると、水がたまってました。
> 054
ほんのわずかな流れもあって、用水路内に湧水があるようです。すぐ下流側で地中に浸透するのか再び空堀になりますが。
この付近、”よめとりまち”と言うそうです。「まち」とは堰のことだそうですが、気づきませんでした。「よめとり」もどのようないわれがあるのかわかりません。
すぐに谷保堰です。
谷保堰
> 055 下流方向を見て
> 056 上流方向
ここの堰で流れが2分します。少し水がたまっている方が谷保分水、反対側が本流です。
谷保分水はすぐ先の”矢川おんだし”で、矢川、清水川の豊富な湧水の供給をうけるので、そこから下流側は一年中水が流れます。そちらはのちほど。
本流は中央自動車道の下をくぐり、国道20号石田大橋北交差点まで直進します。
一応開渠ですがバイパス道建設とともに改修されたようです。特に見るべきものもありません。
石田大橋北交差点付近の府中用水本流
> 057
本流は交差点で左折しているようですが、しばらく暗渠となって痕跡が消えてしまいます。
その途中で、谷保分水から”あきすい門”で分かれる”あきすい堀”が合流します。
あきすい堀・本流合流近く
> 058
あきすい堀は谷保分水の矢川おんだしより下流で分かれている水路ですので冬季でも水が流れています。このため、本流もこの合流点より下流では一年中水が流れています。
あきすい堀もこのあと谷保分水で取り上げます。
本流、北多摩二号水再生センター横で
> 059
本流は暗渠で下水処理場周囲を廻っています。水は右側のグレーチング枠の下を流れているようです。
その先で方向を変え、中央道をくぐった本流は、再び開渠になって姿を現します。
> 060
最初は流れの上に梁がわたしてある「ハシゴ式開渠」ですが、途中からはハシゴも柵もなく、開放的になってました。
向こう、流れの中に板を挟んで堰にするための礎石があり、水かさを変えれば道路左側にも水を導けるようになっています。そちらにも小さな堀(流れはなし)が続いていましたが、どこへ行っているかは不明です。というより毛細血管のような流れの分岐をすべて追うのは不可能です。
この先で流れは国立府中インターのランプウェイの下へ
> 061
反対側へまわると本流はしばらく国立市と府中市の境界を流れます。
府中西高校の東側から
> 062
正面左側、林になっているところが府中崖線(立川崖線)、その際を”下の川”が流れてきてこの先で合流します。
合流した先は、下の川の水を使用した親水風の歩道(市川緑道)、本流は地下、暗渠で流れているようです。また府中市によると川名もこの先”市川”または”第二都市下水路”<なんちゅう名付けセンスだ、になるようです。
市川緑道
> 064
この流れはJR南武線西府駅近くで2つに分かれます。
西府駅側から下りてくる歩道橋下
> 065
この右上、府中崖線の段丘上に駅があり、下面との間にエレベーターつきの歩道橋が通っています。
暗渠のため水が分かれる様子は現在見えませんが、この下あたりで新田川(にったがわ)と分岐します。
農閑期、府中用水本流と下の川を流れてきた水はすべて新田川へと流れて行くとのことで、この先市川(府中用水本流)に流れはありません。とは言ってもこの先の本流はずっと暗渠下で様子を見ることはできません。
本流はいったんここまでです。
◆谷保分水
府中用水本流と谷保堰で分水された流れです。”谷保用水”とも呼ばれるようです。
谷保堰は上のNo.055,056に写真があります。本流から分かれるので、夏季は多摩川からの水が流れ込みますが、それ以外の季節、谷保分水最上流部は空堀状態です。
でも100mくらい先へ行くと、矢川おんだしで流れ込んでくる大量の水が上流方向にたまって、あたかも川の流れがあるように見えます。矢川おんだしは矢川と清水川(ママ下川)が谷保分水に合流する場所の呼び名です。
矢川おんだしの上流側
> 066
矢川おんだし
> 067
右側が矢川、左側が清水川(ママ下川)のすべて湧水由来の水が合流します。多摩川からの水がないこの季節は特に清冽です。(水がある時をまだ見ていないのですが…、まあそう言われているということで)
ここから100mほど下るとあきすい堀を分水するあきすい門があります。
あきすい門付近の流れ
> 068
奥のほうからも湧水が合流しています。
あきすい門とあきすい堀へ導かれた水
> 069
ガードレールの向こうに谷保分水の流れがあり、水色の水門で流れを分けています。かなりの分量(半分以上?)があきすい堀へ流されていました。
「あきすい」についてですが、国立市の資料によると
悪水(あきすい)
悪水とは、湧水の水温が年間を通して16~18℃で稲にとっては冷たく低いので呼ばれました。また垢(あき)水からきたともいわれています。
あきすい堀を府中用水本流までたどります。
まだ水門が見えてます
> 070
中央高速をくぐり、寺之下親水公園のまわりを流れます。
寺之下親水公園
> 071
> 072
公園の下流側でNo.58の写真となり、府中用水本流に合流します。あきすい堀の長さは500m程度です。
再びあきすい門へ戻ります。
あきすい門下流側の谷保分水
> 073
右側が中央道、左が青柳崖線です。
そしてヤクルト中央研究所の前を流れて暗渠になります。
> 074
この付近は最近区画整理が行われ、用水も暗渠にされてしまいました。足元付近にはかつて弥五郎嶋堰があり、田中堀と三田家堀に分かれていました。現在も地下で流れは2つに分かれているようです。
三田家堀は南側を、田中堀は北側をまわり込むように迂回して流れ、先で再び1つにまとまります。
国立市の資料では、三田家、田中などは使用者の家の名前や地名(小字名)とのことだそうです。
地表に姿を現した三田家堀
> 075
草と陰になって分かりにくいですが、S字になった堀に水が流れています。この背後で国立第三中学の南側を流れ、その先でまた暗渠となっています。
こちらも地表に出てきた田中堀
> 076
これらの堀も途中で名もない小さな堀へ水を分けながら流れていきます。
ここは田中堀から下の川上流(城山支流)へ助水するためらしき堀
> 077
ここは夏季のみ水が通されるようです。住宅が並んでいる手前に下の川・城山支流があります。
さらにいくつか水を分けた先にまた空堀2レーン
> 078
もう少し行くと地表を流れる田中堀と暗渠の三田家堀が再び合流します。
合流地点付近
> 079
下流に向かってしばらく暗渠のまま進みますが、国道20号(日野バイパス)を渡り、多摩青果市場の横で流れが顔を出します。
再び開渠になった谷保分水、上流方向を向いて
> 080
そしてこのまま府中用水本流に近づき、合流するように見えるのですが、突然左へ折れて東側を流れる下の川へと合流します。
下の川合流手前1
> 081
道路左側、向こうから流れてきた谷保分水は真ん中の道路をくぐり、右側の側溝を今度は向こう側へ向かって流れ、右端の竹やぶのところで折れて右へ流れて行きます。
合流手前2、右へ折れた流れ
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前方の柵のところが下の川、そこへ合流します。
谷保分水は以上です。
長くなったので、続きはその4へ。