散歩の途中

散歩の途中で観察記録、その後少し調べて書くノート

阿久和川 上流をかみしめて歩く

境川水系の柏尾川をさかのぼって阿久和川へ、そこで名もない支流の源流を訪ねるということをしてきた。
何が楽しいのか自分でもわからないけど、クエスト。

実地調査の結果は次のように流路図にまとめてみた。

●阿久和川上流部の支流含む流路図

  • 地図の中に描いたラインが流路。水面が見える部分は濃青、見えない暗渠は茶色。(今回実地で確認できたところだけを記載しているので、見逃し等は多々あるはず。)
  • 各流路の名称は周辺の地名から勝手につけたもの、このノートの中で区別できればよかったので。(別途正式名称はあるかもしれない。)
  • 名称はマップ左上の矢印つきアイコンをクリックすると一覧が、流路のライン部をクリックするとその部分の名称をハイライトで表示する。

それでは出発。

源流探訪範囲は、阿久和川本流の西田橋より上流側。
西田橋は横浜市泉区新橋町、神奈川県道218号線が401号(瀬谷柏尾道路)と西田橋交差点で分岐してすぐのところに架かる橋。

西田橋

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橋に乗っかっているバス停名は「まほろば」。
橋の上流側、たもとに水の出口がある。

 

◆弥生台東支流

弥生台東支流合流

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出口からしばらく阿久和川本流に沿って暗渠が右岸歩道上を通り、その後西側へそれる。

そこで一瞬だけ暗渠が切れる場所があった。

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水は流れている。その上流はコンクリート蓋暗渠、先で道路の下に埋め込まれる。

蓋暗渠が道路に接するところ

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前方2枚あるカーブミラーの向こう側が先ほどの蓋暗渠で、そこからこの道路下へ

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道路下から流路は確認できなかった。後ろ側には窪地地形の地下を遊水地としたマンションが数棟あり、その付近からの湧水がこの支流を形成していると推測した。マンションの向こうは高台に上がって弥生台東公園など。

 

◆亀谷戸支流

本流に戻り、西田橋から上流へ400mほど先で亀谷戸支流の合流点がある。こちらは前回のノート後半で紹介した支流。

miwa3k.hatenablog.jp

この川(支流Aとも呼んだ)

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阿久和川本流との合流点

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源流まで前回ノートに記載したので今回こちらの支流は省略。

 

◆不明暗渠

谷戸支流合流点のすぐ上流で相鉄いずみ野線の高架をくぐり、そのすぐ先によくわからない暗渠が一すじ。

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正面向こうからこちらへきて右に曲がるコンクリートの色が薄いところ。右後ろ側で本流に合流していて開口部は確認できた。
正面前方で市道に交差して、その先がどうなっているかはわからなかった。

 

◆天神の森せせらぎ

本流は瀬谷柏尾道路(神奈川県道401号)新橋交差点直下をくぐる。そのすぐ先に新橋天神の森公園がある。

中丸家長屋門

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川のほとりにあった。現役の家屋で母屋なども昔のまま使用されているようだった。人力車が置かれている。
横浜市歴史的建造物に認定されている。

その並びに新橋天神の森公園があり、そこへ小さなせせらぎが整備されていた。
せせらぎが本流に流れ込むあたり、対岸から

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ここの水の流れは後ろの公園崖周辺からの湧水と思われる。水量はほとんどなかった。

 

◆神明台下支流

上流へ進み、観音寺前バス停、再度本流が瀬谷柏尾道路の下をくぐる手前に合流してくる支流。
合流点付近まで開渠で住宅の間を流れ下ってくる。

はしご式開渠部分

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この上流でいったん暗渠になり、そこで2つに分岐しているかも。

分岐(?)して東側を通る道路上に現れる側溝

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でも普通の雨水処理用の側溝かもしれない。ここは上にのせた流路地図には含めていない。

暗渠になった支流はその上流側でまた顔を出す。
流れの見える最上流部

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正面の出口からこちらに流れている。

出口をのぞき込んだところ、中で流れが左右2本に分かれていた。
その左側上流

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不自然な段差のある歩道があり、その下を通って正面向こう側にも続いているようだったが、これ以上追えなかった。

分岐の右側上流

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右側はよくわからなかったが、おそらくこの中から流れ出している。この向こう側は神明台処分地と呼ばれた、産業廃棄物の最終処分地だった場所。ここもその関連施設のひとつかも。

本流との合流点まで戻って
神明台下支流合流点

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左側は堂山橋。

 

◆名無し谷戸&阿久和南3丁目支流

名称不明の谷戸からの流れがここへ

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右向こうにちょっとだけみえている森の縁から流れ出している小さな流れ。

阿久和南3丁目支流の合流

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右側向こうからくる道路に沿って流れてくる。先のほうにある、小さな谷間の窪地あたりに出てくる水。源流は私有地で確認できず。

阿久和南3丁目付近本流

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阿久和川の阿久和は現在横浜市瀬谷区の地名。戸塚区あたりの遊歩道には「AQUA川」なんて書かれていたけど。

 

◆阿久和南2丁目支流

この支流の本流への合流点には近づけず、未確認。少しさかのぼってから

住宅の裏などを流れていく

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確認できた最上流部

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はしご式開渠で草むらの中を通り、こちら側が上流。このすぐ後ろが道路で、それより上は忽然と消えて痕跡もない。どこから水が出てきているのかはわからず、流れに近づける場所も少ない支流だった。

 

◆新幹線下支流

写真はこれだけ。
手前歩道途中からはじまる蓋暗渠

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向こう側の歩道右に立つ2本の柱の間、奥の緑フェンスの向こう側にも暗渠が続いている、その向こうへ行くと本流との合流点、道路を横断して手前で直角に折れてこちら側が暗渠の続き(上流側)。
この後ろ側でまた直角に折れてそこから少しだけ開渠となり、別の道路の下へ潜ってあとはどうなっているか不明。
ちなみに上の写真の向こう側の歩道の、その向こうに見える壁みたいのが新幹線高架橋のコンクリート橋脚。真上が線路、すこしの区間新幹線と暗渠が並行している。

 

◆阿久和東3丁目支流

こちらは出せるような写真がなかった。
瀬谷柏尾道路、阿久和交差点南側まで開渠、交差点下を通る暗渠があり、地上に幅の広い歩道などの痕跡が現れているところがある。
しかしはっきりしない部分もあり、地図上の流路は少し不確か、推測を含む。

阿久和交差点付近の本流

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向こうが上流側。この少し先で本流は2つに分岐する。
分流点は草深く、目では追えたものの写真は無し。

 

長屋門

本流が2つに分岐した、東側の流れにあたる。

開渠部と暗渠部境界

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手前が下流側で開渠。道路を挟んで向こう側、歩道になっている暗渠部。

この流れの先が長屋門公園につながっているはずで、現在のところ長屋門公園のせせらぎが阿久和川の源流とされているようだ。

暗渠歩道の先は、何の変哲も、川の痕跡もない住宅地の道路となるが

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暗渠になった流れの上流側はかなりの高確率でこの道路の下を通っている。

地形的にこの筋が谷底になっていてほかの場所を通りようがない。
先ほどの道路を交差する位置から見る

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手前と向こう側の土地が高く、間を横切る道路が底にある。

底の道路をずっと行くと長屋門公園に到る。

長屋門公園入口付近で公園内からの流れが吸い込まれていく口

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旧大岡家長屋門の建物がある東側、公園の入口付近にあたる。

そこから反対側

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奥は谷戸地形になっていてそこから水が流れ出している。途中には「横井戸」という、崖下を横に掘った井戸があり、そこにも水の出口があった。

公園奥の池

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ここが現在阿久和川源流とされているようだ。パイプから出ていた水が池に落とされていたが、たぶん湧水だろう(くみあげ井戸水にしては水量少ない)。

近くには別の小さな支流が流れ込んでいた。
支流の水が浸み出していた場所

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阿久和川の源流は谷戸の谷頭の湧水だった。
谷戸支流の源流ともよく似ている。

 

三ツ境

阿久和交差点付近の本流の分岐点へ戻る。
東側へ長屋門流、次は西側への三ツ境流を北へたどる。

三ツ境流のはしご式開渠部分

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このすぐ上流で暗渠になる。

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コンクリート蓋暗渠もすぐ途切れて向こう側道路の歩道に続く。

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そして妙に広い歩道、不規則に折れ曲がった暗渠道がずっと続いていく。

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川が流れていたことはこの谷が暗示

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向原第二公園南側から暗渠道を下(フェンスの向こう側)に見たもの。その向こうはまた高台になっている。

広い暗渠上歩道はここまで

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正面の建物の間をぬけて向こう側で流れが顔を出す。

そしてここは三ツ境流が2つに分岐する地点。

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左の電柱の左側に柵があるが、そこから三ツ境[西]流が流れ込んでいる。歩道下の流れはこの先三ツ境[東]流とする。

[西]流の柵をのぞきこむ

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ここで合流する2つの流れだが、上流側では数十メートルほどの間隔をあけてまったく並行に流れている。元々2本の流れがあったのか、人為的に流れを2本にしたのかはわからなかった。

三ツ境東西流2本の流れは分岐した上流側で、再度瀬谷柏尾道路を横切るが、そこから開渠となって流れが顔を見せる。

三ツ境[東]流開渠部、瀬谷柏尾道路上阿久和バス停付近から上流方向

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三ツ境第八公園東側の三ツ境[西]流・下流方向

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同じ付近で三ツ境[東]流・上流方向

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さらに上流へ行くとどちらの流れも暗渠になる。

三ツ境[東]流、暗渠からの出口付近

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2本の流れの間を通る道路がその東側の道路と交わるところから北側(上流)は暗渠になり、道路左側に広い歩道ができる。

三ツ境[東]流暗渠上の歩道から

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三ツ境[東]流暗渠歩道がなくなる地点(瀬谷区三ツ境21)

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前方、車が駐車しているところを最後に広い歩道も消え、その上流(北側)では痕跡はなくなる。

マンホーラーにもなってみる

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一方三ツ境[西]流も、[東]流が暗渠になった地点の近くで暗渠となる。
[西]流暗渠

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こちらも一般道路上に出てきて、少しの間コンクリート蓋が見られる。

蓋暗渠が道路上にのびる

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そしてここで忽然と途切れる(瀬谷区三ツ境173)

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[西]流もこれより北(上流)側に痕跡を見つけることはできなかった。

三ツ境東西流が途切れたその北側は、地形的には谷戸のどん詰まりで北、東西方向ともに上り坂になる。

三ツ境中央商店街の変形十字路地点

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前方3つの通りは全部向こう側に向かって上り坂、ここがある意味谷戸の谷頭で、長屋門公園の湧水池のあったところに相当する場所である。ここに昔は鎌取池という名前の池が存在していたということが横浜市瀬谷区のHP、瀬谷区の民話と昔話に書かれている。

横浜市 瀬谷区 瀬谷区の民話と昔話 第四話:鎌取池(かまとりいけ)

どの坂をのぼっても、坂の上は厚木街道(神奈川県道40号横浜厚木線)で、その北側はすぐ相鉄線三ツ境駅ホームである。

左側の坂を上がって厚木街道を背に

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現在の三ツ境付近はかつて武蔵・相模国境が通り、丘陵の尾根が通っている。その尾根は3つの川の分水嶺でもあり、南側は阿久和川から柏尾川へ、西側は和泉川から境川へ、北側と東側は帷子川への水が流れはじめる場所でもある。
このあと、和泉川支流と帷子川支流の源流を少しばかり訪ねて三ツ境駅から帰った。