サン・ジャン・ド・リュズに着いて3日目。この日はまず「山バスク」などともいわれる、内陸部の小さな村を2つ訪ねます。
地図
最初はスペイン国境に接する小さくも美しい村、アイノアへ向かいます。
サン・ジャン・ド・リュズからは南東に直線で20㎞弱ですが、鉄道もなくバスもオンシーズンのみ日に数本、複数の村を見てまわるには効率が悪いので車でドライブです。
海岸に近いリュズの町から内陸側へ入ると、なだらかな低い山あるいは丘がどこまでも続く地域に入ります。フランスの”山バスク”とはだれが名付けたのかよくわかりませんが、そんな場所、周囲は森や牧場、カーブの多い道路をくねくねと走ります。
車内から見えた牧場
こちら特に何かで有名なところというわけではありませんが、この地域の典型的な風景です。
約30分でアイノア(Ainhoa)に到着
アイノアは、サンチャゴ・デ・コンポステーラへの巡礼者のための宿場として13世紀に開かれた町だそうで、現在は「フランスの最も美しい村」のひとつに選ばれています。
この地方の建物は白い漆喰の壁、えんじ色*1に塗られた柱や窓枠、丸い瓦の屋根で統一されています。
こちらとエスプレットでは特徴的な建物と背景の穏やかな山や丘の風景を見てきました。
メインストリート
メインストリートに沿ってノートルダム教会があります。
ノートルダム教会と手前はペロタのコート
ペロタとは「選手自身の手(素手)、グローブ、ラケット、バットなどを用い、壁に向かってボールを打つコート・スポーツの総称である。」(Wikipedia:バスク・ペロタ)
バスク地方独特の競技で、スカッシュにちょっと似ているところがあります。フロントンと呼ばれる壁の形も独特ですね。
教会建物の反対側には墓地
墓地は白い壁の向こう側です。手前にあるのはバスク地方特有の鍵穴のような形をした墓碑ですが、これは個人の墓ではなく「アイノア墓地」と書いてあるような気がします。
メインストリートをちょっと先へ行くと一般の住宅、その向こうはもう村はずれです。
住宅地から
村のはじっこからその外側の風景も、絵に描いたようでした。
Uターンして戻ります。
まだ午前中でレストランなども開店前、人の数も少なめ
通りの脇に”飲料水”と記された、水道?井戸?
下部に"AINHOA 1894..."、1894年に設置されたのでしょうか、現役ではなさそうですが。どういう仕掛けで水が出たのかはよくわかりません。
ちょっと路地にはいって
右側の建物は学校のようです。夏休み期間でひっそりしています。
同じく路地から、建物の”後ろ側”、裏庭
メインストリートの裏側にあたるところです。物干しなんかも写ってますね。
30分もあればほとんどまわりつくしてしまう小さな村です。
もう一度メインの通りから
駐車場近く
続いて、エスプレットへ移動します。
アイノアからは10分ほどでした。
エスプレット(Espelette)到着
こちらも美しい。美しさを保つため、いたるところに少しずつ、合わせればとても多くの手間をかけています。
そういうことが訪れる人に良い印象を与えて評判を高め、さらに観光客が増えていくという好循環になっているように思えます。
エスプレットはトウガラシが特産品です。
建物のファサードなどにたくさんのトウガラシを飾るのも特徴です。
おみやげもの屋さんの前壁にもトウガラシ
トウガラシ(ピマン・エスプレットなどと呼ばれる)は夏の終わりから秋にかけて収穫されるので、今ぶら下がっているのは去年のものなのでしょうか? 赤いというより黒くなってしまってます。
こちらは郵便局の建物
郵便局にもトウガラシ。魔除け的な意味もあるんでしょうか?
実は前回その7、サン・ジャン・ド・リュズの最後の写真、マカロンのメゾン・アダムの前に飾られていたのもトウガラシでした。
再掲
赤と黒のカーテンのような飾りがそれです。
そしてさすが名産地、生産農家の直売所なんてのもありました。
直売所、この午後から開くようです
こちらのピマン・エスプレットですが、日本のトウガラシと比べると大きくて太く、大人の指くらいはあります。収穫後、写真のように干して乾燥させ、粉末にします。
粉末はそんなに激辛というほどではなく、ややマイルドで香りもします。リュズのホテルの朝食ではスクランブルエッグにかけられて出てきました。
そしてエスプレットのチョコレートショップではトウガラシ入りのチョコレートが名物。
チョイ辛、大辛とあって、大辛は結構刺激的です。調子にのってたくさん買い込んで、ネタとして配るのですが、日本でももう皆さんご存じ…
ホテルだってトウガラシ壁
エスプレットも小さな村ですが、お昼時になって観光客でにぎわい出しました。各地から皆さん集合
商店が並ぶ通りから2枚
でもメインの通りから1本裏へ入るとだれもいなかったりします
まあ、こちらは住民のプライベートエリアでもあります。
この古い建物は役場で、観光案内所も入っています
建物の名前は"Château des Barons"(バロン城)、お城なんですね。(写真を撮る角度がよくなかったです)
観光案内所へ寄って、内部もちょっと見てきました。
なぜか階段などを
窓の外をガラス越しに
左下など部分的に風景が歪んで見えるのは古いガラスだからです。現代のように真っ平な板ガラスを作る技術がなかった頃のガラスです。
外へ出て
少し離れたところにサンテティエンヌ教会(Église Saint-Étienne)
この村を象徴する教会です。残念ながらこちらは立ち寄りませんでした。
こちらで簡単な食事をとり、一旦サン・ジャン・ド・リュズ方面へ戻ります。
さて戻るぞ、と
午後は国境を越えてスペインに入ります。
そちらは次に。
*1:濃い緑や青もあります。えんじを含めた3色のどれかに塗ることが決められているそうです。