今回その7では、新田川の流れをおもに引き継ぐ二ヶ村用水、湧水を源とする自然河川に三ヶ村用水、二ヶ村用水の末流が加わり、多摩川に合流する根堀川を取り上げます。今回でいったん府中用水はひと区切りです。
いつものように地図には写真を撮った位置をマークしています。マップ中のアイコンをクリックすると出てくる番号がノート内の写真番号になります。
府中用水その7
◆二ヶ村用水
二ヶ村用水は、かつての常久村、押立村、2つの村への灌漑用水だったことから名付けられました。現在の府中市小柳町、押立町のうち中央道と多摩川に挟まれた地域になります。
二ヶ村用水の水源は新田川(府中用水その5で紹介)で、流れの下流部で名前が変わったものです。なので、もっと上流へたどれば府中用水本流や矢川、ママ下湧水などからの水も含まれています。
現在は新田川に流れる水のほとんどが、郷土の森公園内から是政排水樋管を通って公園近くで多摩川に放流されていますが、一部は公園内で分岐して総合体育館の下を通り、東側へ出てきます。そちらも暗渠で、下流に向かって雨水が流れる、雨水幹線となっています。
体育館から道路をはさんで金塚桜広場が整備され、その中にかつての新田川の流れが再現されています。
金塚桜広場の親水施設
> 175
新田川の流れは実際にこの付近で二手に分かれていたようで、その再現もされています。
現在ここに流される水は地下水をポンプアップしたものだそうです。別途地下にも雨水幹線が通っています。
金塚桜広場の東側、郷土の森公園入口交差点付近では雑田堀の流れが合流しています。地下なので様子はわかりませんが。
その付近が二ヶ村緑道の入口になっています。
> 176
緑道を進むとすぐ、二手に分かれた新田川の一方と再び合流します。
再合流点付近
> 177
合流後の下流側を見ているのでわかりませんが、背後で緑道もY字路になっています。
ここからまた親水路になっています。
またそのすぐ先
右側はラグビー、サントリーサンゴリアスのグラウンド
> 178
前方にも高架が見えていますが、JR南武線と武蔵野貨物線の下をくぐります。
すぐに左側から長い壁が寄ってきて並行します。
左は旧妙観堀(矢崎都市下水路)開渠の流れです。
> 179
以前は新田川と旧妙観堀は合流していたそうですが、現在は分離されています。
旧妙観堀(矢崎都市下水路)も前方の矢崎都市下水路スクリーン施設で暗渠に落ち、三ヶ村用水と二ヶ村用水(新田川)が複雑に地下で交差する、旧極楽橋ポイントに差し掛かります。
旧極楽橋付近
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既出の場所ですが再度。手前から正面向こうへ、ここで二ヶ村用水と名前が変わる新田川、右手前から左へ三ヶ村用水、左”自転車とまれ”がペイントされたところから右側向こうへ矢崎都市下水路が流れているはずです。
少し先で三ヶ村用水、二ヶ村用水は並行して進みます。
府中街道と交差する西側、亀里橋跡近くの2用水並行区間
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ここにも親水施設がありますが、水は流れていません。
左が三ヶ村用水、右側歩道が下へおりていく方が二ヶ村用水です。右側歩道はごく最近できたようで、府中街道の下をくぐって反対側へ出ることができます。
府中街道是政交番前交差点を通過すると、三ヶ村用水は新小金井街道に沿って離れて行きます。二ヶ村用水は緑道を東方向に進みます。
府中街道東側へ出た二ヶ村緑道
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さらに行くとボートレース多摩川の塀に沿って行きます。
ボートレース場の塀に沿って迂回する緑道
> 183
この辺は溝だけで水は流されていません。
ボートレース場ができる前はこのあたりで流れが分かれ、一方は現在のボートレース場敷地内を直進して小柳散歩道となっている歩道へつながっていました。
小柳散歩道はもう少し後で出てきます。
二ヶ村緑道をそのまま行くと是政緑道との分岐点に出ます。
二ヶ村緑道・是政緑道分岐点
> 184
是政緑道の入口から二ヶ村緑道の上流側を見ています。現在二ヶ村緑道はここで左折しています。
是政緑道は二ヶ村用水の昔からの流路になります。こちらはほんの100m弱で中央道府中スマートICにぶつかって緑道は終わっていますが、水路は北側へ出て中央道に沿い、西武多摩川線を交差するあたりで三ヶ村用水の水路に並行し、幅の広いコンクリート蓋暗渠が出現します。(府中用水その6:No.150の写真)
一方左折した二ヶ村緑道はもう少しボートレース場の壁に沿って進みますが、その入口近くが終点になります。
二ヶ村緑道終点
> 185
緑道はここまでですが、用水路跡はここで左へ折れ、ボートレース多摩川の正面入口前を通り、小柳散歩道の流路跡と合流します。
小柳散歩道入口・松山橋跡
> 186
ボートレース場ができる前にあった流路(大川または清水川と呼ばれていた)に、二ヶ村緑道の先が再び合流している地点です。
かつては大川の流れに松山橋が架かっていました。
小柳散歩道に入るとコンクリート蓋暗渠が現れました。
小柳散歩道の暗渠(府中市小柳町4丁目)
> 187
入口から500mほど行くと散歩道終点です。
> 188
道路へ出るところに「勘左橋」の碑がありました。横切る道路にかかっていたものです。
歩道は終わりますが、水路はこの正面、北多摩一号水再生センターの敷地へ入り、北側から流れてくる第一都市下水路の暗渠と合流します。
そして水再生センターの東側へ出て北多摩一号水門から多摩川へ流れ出ていきます。このあたりは前回、府中用水その6のNo.151からNo.155の写真とともに記しています。
北多摩一号水門直前から
> 189
多摩川堤防上、水門の直前に立って上流方向を見ています。左側奥のトンネル出口から二ヶ村用水(小柳散歩道暗渠を通ってきた水)と第一都市下水路を通った水が流れ出ています。その左出口から勢いよく放流されているのは水再生センターで処理された下水です。
是政緑道から三ヶ村用水と並行した水路の方へもどります。
しばらく中央道の北側を通っていますが、押立緑道の前後どこかで再び中央道南側へ出てきます。稲城大橋交差点近くを通って(正確な位置は不明)、その東側へ出てくると多くの流れを分けます。
現在の押立町4丁目、5丁目の地域になりますが、旧押立村、二ヶ村用水の灌漑地域です。
分流はみな細く、新しく住宅地となったこの付近では水路の痕跡も見えにくくなっていましたが、いくつかかいつまんで。
わりと幅広い堀らしき跡
> 190
グレーチング蓋、マンホール、曲がった道路など水路の要素は十分ですが、どの程度の水が引かれていたかはわかりません。
水路かどうか判断しにくい道路ですが、マンホール蓋に「用水」
> 191
右から来る水路敷、左の道路で合流
> 192
中央道横の道路で水路分岐
> 193
正面の側溝の先は未確認。右へ入る歩道を追っていくと
別の蓋暗渠と合流
> 194
正面で合流し、先へ流れて行きます。左から来ているのは三ヶ村用水の分流、府中用水その6のNo.167からNo.172の写真とともに記した流れです。
合流後、調布市に入って名称も早川となり、開渠となります。
> 195 (No.173と同じ)
少し先で根堀川から分かれた堀、調布市内に入って長瀞川と呼ばれる、と合流します。
正面長瀞川、合流点付近
> 196
右向こうのフェンス沿いに早川、正面で合流し、左へ流れて行きます。水ありませんが。
そして凸凹山公園で根堀川本流と合流しますが、続く根堀川のほうで紹介します。
◆根堀川
府中市白糸台6丁目、南白糸台小学校の北側、府中崖線(立川崖線に同じ)の崖下湧水が源とされる自然河川ですが、現在は周囲の宅地化などで湧水は見られません。
源流付近の現在の様子
> 197
左の道路が崖線を上がっていく坂道です。地形も変わっていて、周囲は微妙な水気しか感じられません。
ここから崖線に沿って、小学校の後ろに緩衝地帯が巡っています。
小学校プール脇、何だか土が柔らかそうにも見えます。
> 198
地上に水はありませんが、地下がどうなっているのかもまったくわかりません。
小学校南側で道路を横断すると、西側から流れてくる三ヶ村用水の堀のひとつと合流します。
三ヶ村用水の暗渠
> 199
右側公園から出てくる根堀川とこの付近で合流しています、といってもこのへんの状態もわかりません。暗渠の方もほとんど水は流れていないはずですが。
ここからは三ヶ村用水の暗渠痕跡が続くのでそれに沿って道路を歩きます。
ゴルフ練習場横の道は左側が府中崖線で、その崖下(ハケ)に沿って暗渠の痕跡があります。
道路右側舗装上塗り部分が痕跡、ここで右にも分岐してます。
> 200
右側へ分岐した流れはゴルフ練習場のネットに沿って下り、飛田給小学校の校庭下を通過してから地上に出てきて長瀞川となります。上の写真No.196正面の堀が長瀞川です。
その先は先ほど二ヶ村用水にも記したとおり、早川と合流してから凸凹山公園で根堀川にまた合流します。
一方、道路の下をまっすぐ進む方、こちらが本流ですが、府中崖線に沿ったまま先へ行きます。
調布市飛田給2丁目付近ではこのようなかんじになりました。
上流方向を向いて
> 201
右側、壁になっているところが府中崖線の段差です。その直下、フェンスで覆われている部分が暗渠です。手前側はマンションが建設され、歩道化されています。
すぐ先で中央道の下をくぐると開渠となって流れが姿を現します。
「ここから開渠」となる水車橋の上から
> 202
先ほどゴルフ練習場横で分岐し、長瀞川となるほうには水がなかったのですが、こちら本流側は水が流れていました。どこから来た水なのかはわかりません。
凸凹山公園先端で根堀川は長瀞川・早川の合流した流れと合流します。
見にくいですが合流点
> 203
ここで合流した根堀川は、この先ごく普通の都市河川となって流れ下っていきます。
その流れを地理院地図では「府中用水」と表記していますが、もはやそこを流れているのは府中用水オリジナルの水はないのでは、と思われます。
調布市下石原3丁目付近の”府中用水”
> 204
開渠になった以降もずっと3面がコンクリートの都市河川です。
この先京王フローラルガーデンの中を通過し、京王多摩川駅直下を交差します。京王多摩川駅から東側はしばらく暗渠になり、上部は歩道となりますが、再び都市河川として現れます。
一旦暗渠になって再び流れが現れる
> 205
その少し先、同じ町内
> 206
ここまで来ると府中崖線からは離れていき、右側は100m強で多摩川河川敷です。川は殺風景ですが、隣接する道路との間に遊歩道が整備されていて散歩道としては良いかと思います。
多摩川緑地公園、三菱グラウンドなどを通過すると流れが一気に南側へ曲がり、染地2丁目、多摩川堤防にある樋門を通過して多摩川へ合流です。
ここが末端です。府中用水と関連する系統の水はここまでですべて多摩川へ放流されます。
なお、多摩川をここから下ること約1㎞の地点、狛江市に入ったところには六郷用水の取水口があり、そこからまた新たな用水路が始まっていました。また、府中用水から多摩川をはさんだ対岸には大丸用水、二ヶ領用水が存在しています。いずれも農業、灌漑用水として古くに造られたもので、多摩川流域が過去には水田の広がる稲作地帯だったことがわかります。